3/16のねこさん 文は田島薫
玄関で待つねこさん
以前、家の中に入りたいねこさんがドアからちょっと離れた場所でドアの開く気配を
感知しようとしながら待ってた話を書いたんだけど、今回はそれの別バージョン。
先週、いつもなら自転車で食料の買い出しに行く日なのに雨が降っちゃってたもんで、
しかたなく傘さして出かけた帰り、自転車の時は使わないルートの急坂を降りて来た
ところにある小ぎれいな住宅のひとつの玄関前に、ドアの方向いてきちんとおすわり
してるねこさんがいた。
雨は降ってるし少し寒いし、早く家ん中入りたいんだけど、玄関のドア、高級そうで
がっちりしてるもんで、鳴いても気づいてもらえないし、ノックも無理、飛び上がっ
てノブを回すのもだめだろう、ってわけで、って茶色の長めの毛をふくらませながら
なんとか家人が自分のこと思い出してくれないか、って待ってる模様。
一目でその状態を読み取った私が立ち止まって同情しながらながめてると、ねこさん
気づきこっちの顔見て、自分の苦境を理解してくれたことがわかったらしく、身体全
体をこっちへ向け直して、目が、なんとかご協力してもらえないか?って言うもんで、
わかった、と、そばにあったインターフォンを押して、ねこさんが玄関で待ってます
よ、って伝えてやったら、あら、どうもありがとうございます、って。
ちょっと歩いて離れた場所から見てたら、ドアから奥さん顔出して、やっぱりこっち
は気づかれ、またお礼言われちゃって、ささやかなねこだすけの日。