2/9のねこさん 文は田島薫
ねこさんたち始動
日曜はちょっと風があったものの、けっこう暖かくて天気も晴れで気持いいもんで、
ねこさんたち外へ出て来だしたようだ。
2階の居間から外見てた同居人が、あ、梅ちゃんだ、って言うんで見ると、となりの
バレエ教室の玄関前のフェンスのエンドと車のせまいすき間に梅ちゃんが座ってるの
が見えたんで、梅ちゃ〜ん、って言って手ふると、こっちをクールな目でみつめる。
梅ちゃんはいつも愛想よく近寄って来たりするんだけど、そんな時でもあまりはしゃ
いだりはせず、いつもゆったりと落ち着いてて、落ち着きなくてすぐに逃げちゃうう
まちゃんとは対照的だ。などと思ってると、うわさのうまちゃんが奥の家の長いアプ
ローチを下ってやって来て、梅ちゃんの前を通り過ぎてから、ちょっと、おたがいに
向き合って、離れたまま少しじゃれるようなかっこうをした。
で、うまちゃんはすぐ向きを変え道の向かいのアパートの前の貯水タンクの下に入り、
梅ちゃんや道路の方を見ている。梅ちゃんは、またさっきの場所と同じ姿勢に戻って
寝そべっている。
しばらくふたりともじっとしてるのを、2階から見てると、梅ちゃんの方はこっちに
視線やってから、まだこっち見てるのか、いつも落ち着いてるさすがのぼくでも、な
んだかちょっとうっと〜しくて落ち着かなくなるね〜、って顔をしてゆっくり奥へひ
っこんだ。
タンクのうまちゃんの方は、その時アパートから住人の男が出て来て、なにやら、自
分のアパートを見上げながら横歩きにふいにタンクのそばまで来たもんで、それまで、
タンクのかげで状況見えなかったうまちゃんぎょっ、とおどろき慌てて、タンクの下
の奥へ逃げ込んだ。