6/2のねこさん 文は田島薫
トイレ城
先々週、王さまがいた狭い駐車場、王さまがリラックスしていたんだから、いわば、
そこは、お城、っていっても過言じゃない(過言だっ)。
きのう自転車で図書館行ってからの帰り、そのお城のスミの方に上半身白で尻の付近
だけに黒と茶の模様がある小さなねこさんが用足しのポーズをしていたんで、そばへ
行って、ながめていたら、なんだなんだ、って目を不安気にしながらしばらく固まっ
ていてから、小走りに前の家の玄関の中へ消えて行った。
あ、じゃましちゃっったかな〜、って思いながら、んこ、あるかな、って見てみたら、
なんにもなくてぬれてもいなかったから、ほんとにじゃましちゃったようだ。
しかし、王さまの城で用足しちゃいかんだろうから、それを防いだってことで、王さ
まには喜ばれて、誉めてもらえるかも、って下らないこと思いながら、その場を後に
しながら、もう一度振り返ってみたら、今度はお城の向こうのすみから中へ入ったと
ころの先々週王さまがいた場所のすぐ近くで、別のたぬきがおしたねこさんが、用足
しポーズしている。
また近くへ寄ってながめていると、やっぱり、なんだなんだ、って顔してこっち見て
固まっていてから、ポーズをくずして立ち上がり、そこにわずかに生えていた雑草を
食べている。
ぼくは、んこしてたんじゃないからな、ほら、こうやって、胸焼け用の草をかじりに
来たんだからな、って言い訳してから、お城を横断して向こう側へ出て行って消えた。
その場所へ行ってみるとやっぱり、んこはなかったから、またじゃましちゃったのだ。
なんだここは、お城というより、便所だったか〜、って、しばらく感慨に浸っていた
ら(大げさだっ)、もうあのじゃまな人帰ったかな、って戻って来て、向こうの角か
ら顔をのぞかせたたぬきがお、ありゃまだいた、ってまた引っ込んだ。