6/16のねこさん 文は田島薫
路ばたの王さま再会と、うし
土曜はいい天気、自転車でいつもの店へ食料の買い出しに出かけた帰り、ねこさんい
ないかな、って思いながら「ねこよこちょう」にさしかかったら、先々週ぐらいに見
た路ばたの王さまねこ、ちゃとらが路のはじをゆっくり歩いている。
そばまで行って自転車止めてながめると、また、なんだねきみは?って顔を向けてか
ら、ぼくはきみと遊んでるわけにはいかないんだよ、って感じで、ゆっくりと、そば
の住宅の青銅のように見える金属でできた門の扉の下をくぐって中へ入って行くつも
りのようだった、すっと、頭と体の半分ぐらい入れてから、体を持ち上げるタイミン
グを間違えたのか、お腹あたりがはさまった感じで、ほんの2秒ぐらいのことなんだ
けど、体を前後に揺すって、あきらかに慌ててる様子。
それでも、すぐに体をひきぬいて、別にぼくはなにも慌ててなんかいなかったんだよ、
って言うように、ちょっとこっちをふり返ろうとして、そうすっと、言い訳っぽいか、
って悟ったらしくそのままゆっくりと敷地の中へ歩いて行った。
日曜は図書館に行く途中ののぼり坂の手前の家の塀のわきに、黒と白のホルスタイン
ねこさんが太いお腹で歩いてるのを目撃。
うしだうしだ、って同居人が騒いでたら、なんだよ、失礼しちゃうな〜、って、言う
顔が何度もふり返りながら住宅街の袋小路の奥へ歩いて行った。