10/28ののらねこ 文は田島薫
きょうは小春日和のいい天気。朝もすこしけだるく始まった。ツートンカラーがやってきて、こっちを見て、あいさつして、
階段の下の物置きの屋根に若白が日向ぼっこで、まるくなっていた。
クボセンセンセーもドアの外で、そんなことをのんびり報告した。…ツートンカラーは、このごろはわれわれが外に出てもあまり逃げず
このあいだは、センセーがそっぽをむいていると、足に顔をすりすり
してきたりした。
きょうも、のらねこに中途半端にやさしくすると、返ってかわいそうな
ことになると思いながら、ちょっとなでてしまった。いかんいかん。
そんなふうな、こはるねこびよりの眠そうな雰囲気が、続いている時、センセーが少し顔を上気させて、部屋に入って来た。
ドア脇の屋上への階段を上がったら、上にいた肥満黒とらが大慌てで脱兎のように下りて来て、そのまま1階まで逃げて行ったそうだった。
彼は正統派ののらねこなのだ。彼のおかげで、みんなの気持ちはビシッと締まったのであった。