4/17のねこさん 文は田島薫
墓守りねこさん
きのうの日暮時、家人と私が図書館からの帰り、路地の坂を下り切っ
たわきに数個の墓石があるだけのフェンスで囲まれた小さな墓地があ
り、向こうのその1個の陰に目つきの鋭い乾いた土のような色のねこ
さんがうずくまって、こっちをにらんでた。おっ、ねこさんだ、って
言ってふたりでながめてると、あっちもじっとこっちを見たまま。
ここはおいらが守らなくちゃいけない場所なんだよな。やさしかった
おやっさんがここで眠ってるんだよな。ここへだれかが入って来て、
ここにこしかけたり、しょんべんかけたらしょーちしないんだからな、
こんにゃろー、あ、あやしーのがこっち見てるねー、しっしっ、だめ
だよー、見てんじゃねーよー、入ってくんじゃねーぞこんにゃろー