4/10のしゅちょう 文は田島薫
(戦争を止める方法、について 49)
、
ロシアの侵略戦争の歴史のようなドキュメント番組を観たんだけど、そ
の中で学者が言うには、戦争が起きる大きな原因は2つあって、1つは
威信、もう1つは怖れ、だってことで、確かに現在戦争中のウクライナ
もロシアも祖国の誇りのようなことをいつも口にしてるし、プ−チン大
統領はウクライナがNATOなどの西側の軍事同盟に入り、対処をしなけ
ればやがてロシアは西側に滅ぼされてしまうかもしれないから、この軍
事侵攻は必要だったのだ、ってその怖れも口にしているし、ゼレンスキ
−大統領の方は、ロシアに併合されれば、ウクライナの祖国の誇りと国
民に自由がなくなる、って怖れてるのだ。
しかし、現実は長く続く戦争で、ウクライナ国民の多くは自由どころか、
常に死の恐怖と共に不自由な生活を強いられて、多くの国民が国外へ避
難してるんだし、戦うことを強制された男性たちの多くも、戦線離脱の
自由さえなく、仲間の死を身近に体験し続けているんだし、一方の徴兵
されたロシア国民だって、ウクライナ国民より多く死んでるのだ。
ウクライナは侵略された側だから、戦うことに正当性を主張して共感を
受けやすいだろうし、西側諸国もそのため、軍事支援にさほどの疑問を
感じてないのだろう。
一方、ウクライナもかつてロシアの領土だと言うロシアは、東ローマ帝
国末期に王族と婚姻関係を持ったりして、オスマン帝国との黒海周辺の
領土争いの正当性を主張したりして戦争をしてクリミア半島を含むウク
ライナもその過程で侵略してロシア人も住着いた土地なわけだから、元
々の国土、って主張には、絶対的な説得力はないのであって、それはロ
シアに限らず、西側のイギリスやフランスだって侵略で世界各国を植民
地にしたのだから、急に今になって、われわれ民主主義圏の自由を、ロ
シアのような独裁主義の国から守らなければならないのだ、ってような
ゼレンスキー大統領が唱えてくれてる文句を渡りに船とばかりに、その
通り、ってうそぶいて、評論家たちも口をそろえては、乱暴なロシア、
って非難してればいい、って態度には欺瞞が含まれてるのだ。
プ−チン大統領の軍事侵攻は世界平和のためには時代錯誤な愚行だと言
えるとしても、ほんのちょっと前までは西側諸国は同じことをしていた
のだし、軍事兵器の進歩した今、同じ考えでそれを許したら、世界の破
滅につながるわけだから、やってはいけないことにしよう、って取り決
め自体は正当なことなのだけど、西側諸国は皆そういったことの前科者
であって、その悪事で他国から略奪した富みの恩恵で豊かになってる部
分もあるのだから、不毛な破壊と殺戮が拡大して行くのをただ見守って
るんじゃなく、和平交渉でこそ世界が救われることを忘れず、遅れて来
た自分と同じ前科者に、敬意を持って話し合いをするべきなのだ。
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