1/17のしゅちょう
            文は田島薫

(美食の落とし穴、について)


制作費も少なくて済むし企画も楽だ、ってことなのか食レポのテレビ番組が

多いもんで、見るつもりがなくてもつい目に入ってしまい、その度に私はヤ

ジを入れては家人にうるさがられてるんだけど、やはり食は健康維持の基本

のわけだから、だれもがもっと真剣に取扱うべきだろう。

グルメ、とか、美味しいもの、とか、って言葉がいつでもそういった番組で

語られる主なテーマで、おいしそうなご馳走に、歓声を上げたり、味のよさ

に歓声を上げたら、おしまい、ってことになるんだけど、味は大事だけど、

それより大事なのはそれが体のためになるか、ってことのはずなのだ。

ランチに肉ばっかりで野菜のない料理を食って、うまいっ、って言ったり、

スイーツ好きだ、って言って巨大なスイーツを続けてハシゴで食って、うま

いっ、って言って終わりにしたり、だいたい、そういったもんだけで腹がい

っぱいになったら、栄養のバランス、ってことが取れないだろう。

とりあえず、体ん中では生体活動に支障をきたしてたとしても、急に体調が

悪くなって死んでしまうことはめったにないので(めったにないけど皆無で

はない)あまり気にする人がいないみたいだけど、栄養学やら養生学をかじ

った人なら決してそんな乱暴な食事はしないのだ。

そんな食事を続けてる人は50才ぐらいになると病気が発覚してきて、食事に

気をつけざるおえなくなるんだけど、それも無視して気にしない人は何年か

すると入院したり、その前に急死したりすることもあるわけで。

でも、たいていの人は病気が発覚したりすると栄養バランスを考えるわけで、

それでなんとかやってるのが世間一般の常識的人間で、だれでも、じぶんは

もう大丈夫、栄養バランスの意識持ってやってるから、って安心するんだけ

ど、その意識自体に沢山のレベルがあって、徹底する人とてきとーな人との

レベルの差は相当なもんで、私なんかも意識持ってる方の下の方だろう。

それで意識持ってても、世の中の雑多に出回る食品や外食には様々の問題点

があるし、栄養バランスの不足の他にも、保存料などの添加物の危険性やら

じぶんの体質に合わない食品など、チェックすれば切りがないほどで。

私は、危険性があると言われた添加物の加工食品はできる限り排除して、体

に良い、って言われた主要食材はほぼ全て揃えてそれをじぶんで調理した食

事をしてるんだけど、そう聞いた人には狂信的な食生活をイメージされるか

もしれないんだけど、高級牛肉のステーキや本まぐろの刺身のようなものは

メニューにしないけど、ごくふつうの野菜や味噌や豆腐や納豆や魚をごくふ

つうに煮たり焼いたりオリーブオイルやごま油で炒めたりしてるだけなのだ

から心配や批判は無用なんであって、私は世界中の人々の体を心配してるの

だ、って言った後で、小麦粉を水で溶いたものだけでやっと飢えをしのいで

る人々のことが頭に浮かび、好きなもの食って死ねるのも幸せか、とも。




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