●新連載
よよいのよん
            文はよん

虫たちのきびしい世界


数日前近所の女の子が大声で泣いていた。かなりはげしい泣き方で、

どうも何かをしたくないと言っているようだった。いつもは子どもに

しては少しハスキーな声でご機嫌に遊んでいるその子が泣くなんて…

どうしたんだろう?

昨日の夕暮れ時、その子が気持ち良さそうな甚平を着て家の道路ぎわ

の草を棒でそうっと叩いている、どうしたのと聞くとバッタを捕まえ

るんだと言っている、一緒に手伝うことにした。薄暗いのにバッタを

見つけておっかなびっくりつまんでいたので私が全体を手で囲んで虫

カゴに入れたつもりが入っていないように見えてあ〜あ、

と思っていると、道路の反対側でニャンコが二匹トカゲを狙っている、

すでに小さなトカゲの尻尾は切れていて降参してうずくまっているよ

うに見えたのでニャンコを叱るとその場から離れたので棒で尻尾の切

れたトカゲを逃がそうとすると棒にしがみつくようにしてくる、よっ

ぽど恐怖だったんだろう思っていると「尻尾が生きてる!」その子が

言うので見ると、初めて見る切れたトカゲの尻尾のクネクネ動く様子

に私も見入ってしまった!

トカゲはどこかに消え一応難は逃れたみたいと思っていると、今度は

女の子が「入っている〜」と虫カゴをのぞきこんでる。「草も入れた

ほうがいいんじゃない?一晩だけで明日は逃してね」と言うと、ハス

キーな声で「でも迷い込んだカマキリに食べさせちゃうんだよ」!!

どうやら先日つかまえてたカマキリにエサのバッタが捕まえられなか

ったら逃がそうね、と親に言われてたらしい!!


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