7/20のしゅちょう
            文は田島薫

(心の平安、について)


2〜3日前、家人が欠かさず見てて私も時々見てた世界のグッドグッズ的な

テレビ番組のレギュラーMCもやってた若くてルックスもいい人気男優が自

殺したらしい、ってニュースが伝えてた。

二枚目で人気者で活躍中、ってだれでも憧れるような立場にいて、なぜなん

だ?って思うんだけど、冷静に考えてみれば、傍からどんなに大成功者と見

えても、当人の心の中までは見えないわけで、例えば大会社の重役やら官僚

やら人気芸能人やら人気芸術家といった成功者たちは、どっか人並みの努力

や苦労やなにかを身替わりに犠牲にしてたり、ってことも多分あるのだ。

だから、そういった交換条件を知っている歴史上の賢人の中には、高い官職

の誘いを断って質素な暮しを選ぶ者もいたようだし、もっとも、そんなこと

気にもせずに喜んで地位について楽しくやった者も多そうだけど。

その断る者と受ける者の差は個人の資質によるんだろうけど、いずれにして

も、自分がそれによって心を平安にしたまま、その境遇を楽しめるかどうか、

ってことによるんだろう。

自分の意に沿わない立場で苦しい努力を重ねて結果を出して、人々から賞賛

されたとしても、当人の心の平安は別物だろうから、賞賛を喜びに感じて、

苦しさが楽しさに変わるんであればそれはそれでいいんだろうけど、そうで

なければ、賞賛が逆に辛いものに感じてしまうかも。

そういった注目される立場になる、ってことは、同時に人々からの期待に応

えなくちゃいけない、ってようなプレッシャーになったり、なかなか思うよ

うにならない自分の非力を意識してストレスになったり。

私自身も、気楽に絵を描いて誉められてた子ども時分は楽しかったんだけど、

そういったことをアカデミックに学ぼう、とした時、技術的なことや、創造

についての無力感に襲われ、思考の空回りと逃避をくり返したあげく、楽し

むことができなくなった時期があり、ある時、もう他人からの評価は気にし

ないで自分が思う通りにやろう、って決めた時から楽になった感が。


戻る