2/25のしゅちょう
            文は田島薫

(先入観のワナ、について)


人が大人になる、ってことは、一般的には社会的ないろいろな慣習やルールを知

り、それから外れないように気をつける、ってことが身につく、ってことらしい

んで、そうなった者は自分は大人なのだ、って自覚もできるんだろう。

社会が平和を保ちつつスムーズに運営されるためには、そういった基本がなくて

各個人が好き勝手ばかりやってたら、社会は混乱するだろうし事故や事件も多発

することになるだろうから大事なことではあるだろう。

で、それはあくまでも、基本、ってことであって、社会活動、ってものは様々な

予期しなかったような状況も起きたりするわけだから、そういった将来起る可能

性のある状況にきちんと対処する体制を作っておかなくちゃいけないのだし、そ

れの努力をしたのにそれを超える予期せぬ事態が起きた時は、臨機応変に事態の

主要問題点を見つけて迅速に対処すべきなんだけど、それを阻むものが、既成の

ルールを妄信して先入観の価値判断しかできないリーダーの存在なのだ。

東日本大震災の時、小学校の校庭に集合させられた児童が、みんなで早くそばの

裏山に上ろう、って主張したのに対し、先入観教師が、子どもがそんな急な山上

って怪我でもしてはいけない、それに水がそんなに高くまで来るはずはない、っ

てことで、先に指定されてた避難場所へ強引に誘導、結果全員死んだ例とか。

今回の巨大クルーズ船での新型肺炎集団感染でも、厚生省担当が、感染専門医よ

りも主導権を握り、感染専門医の意見を過小評価し、さほど広がることはないだ

ろう、感染者だけ隔離して後は2週間ほど様子見して陰性なら解放すれば問題な

い、って勝手な判断を強引にやったようで、中に入った専門医はウィルスの全く

ないゾーンといるかもしれないゾーンが峻別されてなく、防御服を着た検診医と

感染してるかもしれない乗客が歩き回ってすれ違ってたり、防御服を感染ゾーン

外でも着たままだとか、脱ぎ方もほとんどの要員は基本を知らないようだ、と、

状況を見てびっくりしたそうで、緊急の改善を訴えたらしい。

それに対して、外国人も大勢いる船内で、専門医の極端に厳しい規制を命じれば

船内に混乱や反発が起きるから、あえて専門医は部外者に規定した、などと、厚

生省関係者や、その専門医をスタンドプレイと見てる同業者などは批判してるよ

うなんだけど、どう考えても、感染者が増え続け、船内に入り検診もしないで安

心して職場復帰した厚生省役人などからも感染者が出たり、陰性診断を受けて下

船して公共交通手段で帰宅した客が陽性になったり死者まで出てるのを見れば、

どっちの主張が正当かは子どもにだってわかるはずなのだ。


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