1/6のしゅちょう
            文は田島薫

(自然との共生、について)


わが国は地方のどこもかしこも過疎化が進んで、バスや鉄道などの利用者も減

り路線の廃止も続き、車を使える者だけが幹線沿いに新建材で建てた日本じゅ

うで同じような建物の新興住宅街に住んだりして、同じく幹線沿いなどにある

ショッピングセンターのようなところで食料や必需品を買う、ってような形な

んで、地方都市の商店街はどこもシャッター通りになっちゃってるし、昔から

の風情ある町並みや山里などの、自然と調和した風情ある住環境などが廃れ続

けてるようなのだ。

これじゃまずい、って考える人々も少しづつ出てはいて、古民家をリフォーム

したりして都会から移住してくる人もいるんだけど、そういった不便な環境の

中で生活するには、収入源の確保の必要もありなかなか大変そうだ。

便利さだけを求めれば、都市や車に頼った新興住宅街に住むのが一番、ってこ

とになるんだけど、その自分の住む場所に愛着を感じるような風情はちっとも

ない、ってことになっていそうで。

仕事場だって、都会から下りて来て、それをスケールダウンしたような会社や

チェーンストアや工場に勤務したりして、もし、その地方でしかできない産業

ってもんであったら、より誇りを感じて働けるはずだろうけど。

だから、だれもが、そういった産業を起こすことをなんとか考えようとがんば

っているのだろうけど、それには、辛抱と苦労もつきものなんだろう。

建築家の隈研吾さんは90年代から木材を多用した建築を作ってるんだけど、木

材は日本じゅうにある放置された杉の人工林などの森林を手入れしながら調達

できるのだし、光を入れることで森林はより活き活きするし、景観も整備され、

願ったり叶ったりだろう。

自然がいい、って言ってもふつうの人が手付かずの原生林の中へ入って行くの

はほぼ不可能に近いわけで、人々が自然の美しいい〜ところだ、って感じるた

めには森などの手入れが必要で、俳優の柳生博さんは熊笹しか生えてないよう

な八ヶ岳の麓の広大な敷地に10年かけて1万本の木を植えながら住み、何種類

もの小鳥が来る心地よい森を創り、そこを一般公開しているようだ。

原生林などの手付かずの大自然の保存と共に、こういった自然との共生がこれ

からの地方の復興や創成への強力な要素になるだろう。


戻る