11/11のしゅちょう
            文は田島薫

(所得格差の現実、について)


世界的に見ればどんな境遇の人でも飢え死にする心配はほぼないわが国は裕福な

方だと言えるんだろうけど、国民の所得格差の二極化が拡大してることに自民党

政府や一般民衆の余裕層は無頓着過ぎてるのは問題だ。

二極化の上層である大企業や先端IT企業の社員や公務員や成功した自営業者など

でも自分たちの所得が高いという自覚がほとんどないように見えるのは、それの

ほとんどが仕事に拘わる労働時間の長さや、それについて努力やストレスを実感

したり、無制限のように上がる大学授業料などの子供の教育費などの必要経費が

あり、稼ぎがどんどん出て行ってしまう現実があるせいなんだろう。

それには、雇用制度の構造的問題点があって、大手でもそういった企業や自治体

の正規雇用労働者の仕事量がおそろしく増大して無謀な残業量になってる一方、

民間などではリストラされたりして再雇用される非正規雇用労働者は増え、その

所得は同じ仕事でも正規雇用の半額からそれ以下ってことも多く、そしてこの傾

向は経営者側からすれば経費節減になるわけだから、このパターンはエスカレー

トし続けることになるわけで、正規雇用労働者よりもっと大変な非正規雇用労働

者を同情する心の余裕は正規雇用労働者にも多分ないのだ。

私はこの悪循環の根源が、組織労働組合の行う春闘などの経営者側に対する無邪

気な賃上げ要求のやり方なんじゃないか、って以前から感じているのだ。

とにかく自分たちの賃上げが第一目標でそればっかり要求し、そのために経費節

減をしたい経営側がリストラしたり下請けに納入コストダウンを要求するのを黙

認したりすることが、結局、賃上げのコストプッシュのしわ寄せがそういった下

層との格差拡大につながって行ってるのだ。

当人たちにその自覚が薄いとしても上層グループの組合い運動は、いつも下層グ

ループにもたらす影響を第1に考えるべきで、もし、企業側が利益の内部留保を

溜め込んでるんであれば、賃上げ要求は、リストラ禁止の前提で下受けなどの下

層も含めて明らかに改善する形でだけ進めるべきなのだし、労働時間が過酷なら

賃上げだけに固執せずに、場合によっては賃下げも提案して人員を増やす要求も

あっていいはずなのだ。

労働環境が大変だと感じてる大手などの正規労働者よりもっと大変なのは、非正

規雇用労働者の家庭で育ち、無理して奨学金を借りて大学を卒業した大勢の若者

が非正規雇用労働者にならざるおえない現状もあり、借金を返すだけの生活を送

るために結婚もできない、といった層が増えてるそうなのだから。


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