映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、思い込みが強いため、天然ギャグ炸裂のようです。
映画のタイトル
前回『ボヘミアン・ラプソディ』の話を書いた。とても衝撃を受けて2度観に行ったの
だけど、実はチケットを入手する時、つい間違って「『ラプソディ・イン・ブルー』を
お願いします」と言ってしまった。カウンターの人はすぐに察して「ああ、『ボヘミア
ン・ラプソディ』ですね」と言いながら発券してくれた。きっと「ふふっ、こいつも間
違ったぞ〜」と思ったに違いない。だって『ラプソディ・イン・ブルー』は”あの”ガ
ーシュインの名曲なのだから、きっと多くの人たちの頭に刷り込まれているはずだ。
タイトル間違いと言えば、ちょっと前にもやらかしてしまった。今年カンヌでパルムド
ールを受賞した是枝裕和監督作品『万引き家族』だ。あろうことか私はこれを『泥棒家
族』と言ってしまった!これはまずい。万引きと泥棒では犯罪性のニュアンスが違う。な
んかこう、罪深さが増し加わったようになってしまうではないか。間違ったことの言い
訳をするなら、きっと私にとっては「き」が邪魔だったのだろう。四文字でスッキリし
たいと意識の奥底にあったに違いない。な〜んて言ったら、友人に「だったら『万引家
族』でいいじゃん」と突っ込まれた。どう言い訳しても間違いは間違いなのだ。
白状ついでにもう一つ。随分むかしだけど、『お日柄もよくご愁傷さま』という映画が
あった。結婚式とお葬式がたまたま重なり、てんやわんやの騒動になる話。橋爪功さん
が主演で妻役を吉行和子さんが演じていた(山田洋次監督作品『家族はつらいよ』のコ
ンビだ)。
映画を観に行ったのは、お天気のいい日だった。チケットを買う際に、おっちょこちょ
いの私が何と言ったか、勘の良い人はもうお分かりだろう。そう、なんと私は『本日は
お日柄もよくご愁傷さま』と大きな声で言ってしまったのだった。もちろん笑われた。
横にいた友だちには「タイトル長いよ!」と突っ込まれた。突っ込みがいてくれて良か
ったなぁ。これが自分一人だったら恥ずかしくて逃げ出したくなっていただろう。
『お日柄もよくご愁傷さま』
1996年/105分/カラー
監督 : 和泉聖治
脚本:布勢博一
主演 : 橋爪功