8/14のしゅちょう 文は田島薫
(正論の誤りについて)
前回、老人の思考や認識についての省力化についての賛同意見のようなことを書いたんだけ
ど、それがいつでもどんな場合でも上手く行くとすれば、基本に、寛容だとか、愛だとか、
といった他に対する思いやりのようなものがある場合に限られるだろう。
それがない場合、自己中心的な考え方で凝り固まり、他人の立場なんか知ったこっちゃない、
って当人の能力もないのに根拠もなくただ威張ってるだけの老人がいたら、おもしろがられ
る場合もあるかもしれないけど、たいていはただ嫌われたり疎んじられたりするはずだ。
ところが、たいていの老人は、経験から物事に対する見方が確定してることが多く、何々は
何々だ、って言い切ることができることに自己満足する傾向がある。
そういった老人は様々な本なんかを書き、それを読んだ若者が、おー、これは正論じゃない
か、って感心することもよくあることで。
先日は、ユーチューブを見てたら、そんな老人の本読んだらしいある若いロックミュージシ
ャンが憲法9条について、間違いである、って発言してて、なぜなら、だれでも戦争をした
いものはいない、自分の国を守る軍隊は必要で、それがないと、チベットのように中国の軍
隊に人々が殺されるし、尖閣諸島だってどこだって乗っ取られる、軍事に頼る米国にもきっ
ちりものを言えない、って、それに対しフォロワーが、正論だ、軽薄な左翼のロッカーは多
いけど、こういう本当を言うロッカーは実に認識が深いだとかなんとか言ってた。
私はそのロッカーを非難したいわけじゃなく、発言は自由だし才能もあり孤高に意見を言う
態度は支持したいぐらいなんだけど、彼ぐらい人気者だと、けっこう無垢な青少年に対する
影響力も大きいと思い、ちょっと、反論をしておきたいのだ(もっとも、どの青少年もこれ
読む者は全然いないかもしれないけど)。
まず、憲法9条で、わが国は軍隊は持たない、って言っても、丸裸なわけじゃなく、自衛隊、
はあるのだから、チベットのようなことにはならない。じゃ、自衛隊をきっちり、軍隊とし
て認めればいいじゃないか、って言うとすれば、軍隊=戦争をしうる、って広義の意味も一
緒に引受けることになり、米国と軍事行動を共にしようとしている安倍政権などはそれがエ
スカレートして行く確率の方が高そうなのだ。
だいたい、右傾のそういった老人の書いた本は、日中戦争は侵略戦争ではない、東京裁判は
インチキでA級戦犯などいない、わが国は中国などに詫びてる必要はない、南京大虐殺や従
軍慰安婦などはでっち上げだ、自虐思想だ、そんなことやってる国は日本だけなんだから、
そんなことはやめて誇りの持てる国にしよう、ってなことばっかり言ってんだけど。
中国に先制攻撃し進軍したのも米国に先制攻撃したのもわが国だし、中国人を虐殺したり、
女性を蹂躙したのも事実なんだから、その規模などが事実と違うからといって、やったこと
が間違ってない、って言うのはごまかしなのだ。他国はそんな詫びなどしてなくても、かま
わない、わが国だけでも詫びればいいのだ。戦争はしない、って宣言するのがいいのだ。
だって、現実の戦争はいつも正当化つきのちょっとだけの軍事行動から始まるのだから。
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