英国のEU離脱
世界中の注目をあびた国民投票の結果、英国はEUを離脱した。
その原因を大雑把に分析すると、三つの要因がある。それは中産階級と労働者階級
の対立。老人と若者の対立。大都市居住者と地方居住者の対立であると言われるが、
実態は残留派と離脱派の宣伝合戦が票の行方をきめた。
キャメロン政権は、国民をなだめたり、すかしたり、ときにはおどしたりしながら
EU残留をうったえたが、離脱派が声高に宣伝する一週間3億5000万ポンドと
いう巨額なEU拠出金への非難が英国民の心をつかみ離脱派が勝った。じつは、こ
の拠出金のうち約半分は補助金としてもどってくるのだが、離脱派はこれを隠した。
つまり国民にウソをついたのだ。ところが国民投票終了後この補助金について指摘
されると離脱派はアッサリとウソを認めてしまったので英国内に怒りがうずまいて
いるそうだ。
しかし、これがまったくのウソであるかというと、そうとも言い切れないところに
政治家の言葉のむずかしさがある。「われわれは拠出金のことを言っただけだ」と
言われてしまえばウソにならない。
EU離脱がどのような結果をもたらすかということを深く考えないで、大衆受けす
る言葉にとびついて離脱を選んでしまった結果に、英国民が当惑、反省している。
目を国内に向けて見ると参院選のまっただなか。このようなウソと言い切れないウ
ソがとびかっている。
一例をあげると安倍首相はアベノミクスのおかげで就労率が上がったと自慢してい
るが実態は就労者の大半が非正規雇用者であることは一言もいわない。このことを
指摘されると、将来非正規雇用を改善します、と実体のない答えが返ってくる。は
たして就労率の上昇というのはウソなのかそうでないのか。
安部首相はこのような言い回しが得意である。防衛問題でも福祉問題でも一面的な
見方をもって選挙に臨むと英国の二の舞となりかねないからご用心。 |