タイムマシン
100年前アインシュタインが予言した重力波が観測された。観測されたということは
重力波の存在が証明され、アインシュタインの一般相対性理論が正しかったことになる。
重力波とは、重い物体が激しく動くと、まわりの時間の流れや空間がゆれ波のように伝
わる現象をいう。
つまり重力波の存在は本来不変不動であるはずの宇宙空間の時間が変化し空間がゆがむ
ことを証明したことになる。時空のゆがみが証明されたことを喜ぶむきもあるが、「そ
れがどうした。時空がゆがむとオイラの生活が良くなるのかい」が、世界中の大方の感
想であろう。
時空のゆがみうんぬんというと思いだされるのがタイムマシン。残念なことに現代科学
ではタイムマシンは理論的にできないそうだ。
しかし、まわりを見まわすとできないはずのタイムマシンに乗ってしまったようだ。着
いた先は1936年。軍部が台頭してきて統帥権をふりまわし憲法はないがしろにされ
る。議会は翼賛議員に占領されてしまい「一億総活躍」ならぬ「国家総動員法」が成立
するころだ。
とにかく現在とよく似ている。特定秘密保護法により、防衛省が安全保障に支障をおよ
ぼすといえば、会計検査院の検査がはいれなくなる。これは憲法に定められた「国の収
支決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し…」が実行できなくなることだ。戦前
軍事機密の保護強化により軍事予算のコントロールが出来なくなったこととおなじでは
ないか。また、放送法を盾にしてマスコミに圧力をかけ、政権に都合のわるい論評を封
じにかかってきた。もちろんこれも憲法に反することで戦前のお家芸だった。
安倍政権の首相と官房長官その他政権中枢部を軍部におきかえるならば、政策を提案で
きない政党と与党の思うままの議会など1936年代の再来といってもいいだろう。ま
さか自分の生まれた時代にワープして、その世相を体感できるとは思わなかった。長生
きはするものである。 |