11/14のしゅちょう
            文は田島薫

短絡政治と偽善政治、について


米国の大統領選で本命と見られていた民主党のヒラリーが敗れ、当初問題外と言われてた共

和党のトランプに決まったのは、幅広い低所得層がすぐ自分たちの利益になるような気にな

るメッセージを単純な言葉で表現できた方が勝利した、ってことになるんだろう。

インテリであるヒラリーはこれまでの主流のグローバリゼーションを順守した国際関係に主

導的立場を維持した政策をして行こうとしてたけど、若者中心にした国内の貧富の格差の解

消についての積極性が薄く、同党後発のサンダースの主張を後追いした形になったのが、商

売人であるトランプは早々言葉たくみにそこを取り入れ強調した。

厳しい経済状況の中で家族を養う低所得層にとって、ヒラヒーがいくらきれいごとで、なん

とかする、って言ってもこれまで政権の中枢にいても格差解消に積極的政策が見えなかった

当人に期待するより、海外に派兵してる米兵を引き上げたり駐留国に費用負担をしてもらっ

たり、人々の仕事を奪う不法入国者を取り締まったり、それをふせぐ壁を作る、って言うト

ランプの方が実現しそうに聞こえたんだろう。

けっきょく、トランプは格差解消の方法として、他国へ流れる金をとりもどすことを第一に

してるだけで、自分のような企業家の税金を大幅に引き上げるつもりはあんまりなさそうで、

そのことについては具体的には触れないし、民主党政権がした国民皆保険は低所得者にとっ

て必要なもののはずなのに、いらない、ってどっかで主張してても、そこの部分は低所得者

向け演説会場では触れず、当事者たちにそこを注目させない模様だし。演説会場などの相手

につじつまのあいそうなつごうのいいことだけ伝え、つごうのわるいことは言わない、って

テクニックに、ころっ、って言いくるめられちゃう層が米国にも多そうなのだ。

考えようによっては、まずトランプ自身の得になることだけを主張するんだけど、それさえ

守られれば、自国民の利益になることをするのはやぶさかじゃない、他国民についてはなに

もしてやらないけど、それは自己責任でやってくれ、ってことなんだろう。

これも考えようによっては、ブッシュ政権がやったような偽善的正義をかざしては他国を軍

事攻撃して犠牲者を出したり世界を混乱させるような愚をやるよりはましかもしれない。

わが国も、トランプが、金をださないなら米軍を引き上げる、って言ったら、どうぞどうぞ、

こちらも費用がかからなくて助かる、って言うのがいいのだ。




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