2/2のしゅちょう
            文は田島薫

(戦争をなくす方法について 2)


「イスラム国」に人質になって生き残ってた日本人のもうひとりの方もやっぱり、殺され

てしまった。

日本政府は、人命第一で「あらゆる手」を使って努力をした、って言ってるんだけど、そ

の「あらゆる手」の中に、身代金の支払い、は含まれてないのだ。

身代金を支払えば、拉致と身代金請求の悪循環が始る、から、それは支払わない方がいい、

って論理なんだけど、たしかにそれはわかるにしても、支払わなかったら人質は殺す、っ

て言ってる相手に、支払わない、って言うことは人質は見殺しにする、って言ってるのと

ほぼいっしょなのだ。

安倍首相は、かつての米国大統領ブッシュのように、テロ組織とは取り引きしない、って

勇ましい発言をくり返すんだけど、人質になってる方の身になったら、とりあえず取り引

きしてもらいたいもんだ、って感じるはずだ。私が人質だったらそうだ。安倍首相が人質

だったら、自分で同じ勇ましいこと言えたんだろうか。

フランスやドイツやヨルダンなどはあまり表沙汰にはしないけどそのつど身代金を払い数

十人の人質を解放させたらしいんだけど、それによって「イスラム国」から金かせぎのツ

ールに利用されることになってるかもしれないにしても、人命第一、人命尊重、ってこと

はそういったことだろう、国民は見殺しにしない、って。

ところが、テロに屈しない取り引きしない、って態度は米国のやり方で、米国は、そうい

った場合、武力攻撃で人質奪還、といった傾向にあるみたいだけど、それは建て前で、裏

での身代金取り引きは本当は大いにやってるはずなのだ。

安倍首相は、テロ組織との取り引きはしない、って断言して、当然のごとく結果人質が殺

された後、相手を極悪非道、許さない、などと言い、テロとの戦いを強調した。

これは、欧米の軍事行動にきっちり参加する、って表明であり、軍事貢献はしないけど、

っていくら言っても、「イスラム国」側からみたら敵にしか見えないだろう。

日本は米国と同じ態度でやる必要はないんであって、身代金でもなんでも交渉を受けて立

つ方がいいのだ、そういった交渉の相手をする、ってことは少なくとも相手の都合立場も

最低限理解する努力をしている、って大事なメッセージになるのだし、そこから、より平

和的解決提案に導くことだって可能なはずなのだ、身代金要求だって相手からは世界に向

けたメッセージであったり、強がりであったり、プライドであったりするわけなんだから、

内密に減額交渉したり、たとえば、空爆の休止などを米国と双方に交渉して、解放条件に

するなど、いくつもの平和解決的交渉の糸口にさえなりうるはずだったのだ。

各国の首脳などの発言は世界に向けたメッセージなんであって、それは当然相手国に対し

てのメッセージでもあるわけで、じゃ、極悪非道、って相手を断罪してる自分の方の親分

である米国やその兄弟であるイスラエルがしている大量殺人の一方的空爆などは極悪非道

じゃないのか?、って認識を確認しといた方がいいのだ。

とにかく平和解決を理想と考えるんであれば、軽々しく相手のことを、たとえ「イスラム

国」であっても、蔑視や敵視した表現などをすれば国民を守る、って言う安倍首相の言っ

てる目的と反対の危険性がどんどん増すわけで、そこんとこは冷静さと寛大さと愛を心か

ら忘れないようにして欲しいもんだし、われわれ国民もそうしたいもんなのだ。




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