12/7のしゅちょう 文は田島薫
(テロをなくすこと、について 2)
米国でまた銃乱射事件が起きて十数人が殺され、オバマ大統領はそれをテロと判断し、
ISがそれの根源だとして、壊滅目指して空爆を継続する、ってような演説をした。
先日のパリでのテロに続いてこういった事件が起きるたびに、現地国民は怒るのはし
かたないことなんだけど、それへの国のリーダーによる対処がいつもまずい。
敵をとにかく想定してそれに仕返しなり、こんなことが2度と起こせなくなるように
絶滅させるのだ、って言われれば、国民の方はそれならいいかもしれない、って感じ
やすいだろう、ってことで、そんなことやってもそれが可能かどうかの自信もないま
まに言ってしまうのが、大統領と言えども弱い心も持つ人間、単純な国民の気分を鎮
めるためにはしようがないテクと考えた結果なんだろう。
だが、テロを起こすのは悪いISだけだ、ってのような見方は現実的には噴飯モノ、と
言えるだろう。だって、米国始め有志国が空爆やってるIS地区には一般市民も大勢い
て、いきなり家壊されたり両親や子どもが殺されているのだから。
ところが、そんな実態の報道は日本や米国では大マスコミにはほとんど取り上げられ
ないか、取り上げたとしても小さな行数でたいしたことのない事故かなんかのように、
きょうは100人死んだ去年は何万人死んだ、ってような調子なのだ。
このバランスの悪さは少しでも自分の頭で感じたり考えたりする力がある人間ならす
ぐにわかるはずなのに、そんな他国の人々の理不尽な惨状のことを考えてみることよ
り自分たちに起きるかもしれないテロに対する恐怖による目前の安全確保の方に意識
が行ってしまいきちんとした思考が果たせないのだろう。
先日の新聞社の若者へのアンケートでも、米国の軍事作戦に積極賛同の安倍首相の支
持が男子は半数越えあったそうだし、危険な新安保法制を廃棄させるために、野党は
大同について共闘して行くのがいいのに、民主党のリーダーは党のメンツを一義に考
えてそれに反対してるようだから、来年の選挙が心配だ。
だいたい、今保守派の各国が当然のこととして実行している敵を想定したテロ対策と
いった形で空からの卑怯な戦争行為を続けることで、テロが終わるはずはないのだ。
テロによるテロの否定、ってこと自体認識矛盾なのだから。
悪いテロ集団だ、などと相手を敵視してる方の国だって、ほとんどがかつて百万千万
単位の人間の虐殺をやってきた歴史があるのだから、そういったメカニズムをもっと
公正に分析判断して、安易な敵視政策をやるのはそろそろおしまいにしていくのが新
しい時代というものなのだ。
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