11/30のしゅちょう
            文は田島薫

(軽率な差別発言について)


Jリーグの準決勝戦でわが浦和レッズがガンバ大阪に負けてしまいレッズファンならだ

れでも同じように私も悔しい気持だったんだけど、そのファンと思われるひとりがガン

バの得点した黒人選手のサイトに「黒人は死ね」といった書き込みをし、当の選手が気

にしてるらしい記事が新聞のスミに出てた。

浦和レッズのサポーターのだれかは以前にも、スタジアムの入口にJAPANESE ONLY、

って垂れ幕を下げたことが人種差別だ、って問題になりペナルティの無観客試合をした

のからまだ1年も経ってないのだし、浦和レッズのファン全員が人種差別主義者の団体

だ、って思われたりしないことを祈りたい。

前回のも今回のも人種差別だ、って取られてしかたない行為なんで、ここで私が「犯人」

を弁護して言い訳や味方の正当化、ってとらえられたくないんだけど、われわれのだれ

もが同じような過ちを犯す可能性があるんじゃないか、って思い、ちょっと考察を。

今回の書き込み「犯」は、悔しさに負けて、相手の活躍選手になんか批判めいたことを

言って憂さを晴らそう、って考えた多分どこにでもいる軽い乗りの若者だろう。

で、さて、なにを言ってやるかな、って考えたんだけど、その黒人選手はサッカー技術

やセンスのどこを取ってもすばらしい、なにも言うことができない、悔し紛れに、じゃ、

へんな顔だ、って言ってやるか、ってよく写真見直せば、おいおい、自分よりずっとハ

ンサムじゃね〜の、なんかないかな、そういえば、これは黒人だよな、じゃ、ってこと

で書き込んだんだろう。これは昔子供のケンカで不利になった方が負け犬の遠ぼえ風に

「おまえのかーちゃんでべそ」、って根拠も意味もないこと叫んだのと似てるのだ。

彼はひょっとすると黒人じゃなくても白人でも、白人は、って同じ表現したかもしれな

いし、そうでないとしたら、米国の黒人差別の歴史に無意識に便乗したのかもしれない。

いずれにしても、今日わが国では、スポーツでも音楽でも黒人の優秀さはあこがれの的

で黒人の真似をする若者が大勢いるくらいなのだから、差別の歴史を背負ったデリケー

トな問題をはらんだ表現だ、って認識は薄かったんだろう、気楽に書き込んだだけで、

大マスコミに取り上げられて批判されるとは夢にも思わなかったんだろう。

当の選手の方だって、ありがち(?)な幼稚な悪態を気にするほどのことじゃないじゃ

ないか、って見方もあるかもしれないんだけど、ひとりで異国の地に来てそこのチーム

で日夜頑張ってみなに愛されているつもりだった異国人のひとりに「死ね」などといっ

たことを言われたら哀しいことだろうし、世界各地で民族紛争的テロが起きてる今、危

ない人間に敵視されてるかもしれない、って不安も起きるだろう。

差別発言はすべて軽率なもんだ、って言えるだろうけど、少なくとも、そういったこと

をどうしても言いたいんであれば、対面してなぐられる覚悟で言えばいいのだ。

インターネットを甘くみて匿名で言いたいこと言ってる輩をたびたび見かけるけど、き

ちんと常識と他人や異国人への敬意も忘れないようにしてよく考えて書き込みしていか

ないと、甘やかされた脳はますます馬鹿になるのだから気をつけよう。




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