思いつくまま、気の向くまま 文と写真は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセー、神様も時流に乗ってるんだな、って感じたようです。
正月元旦恒例神田明神初詣。
毎年の行き方をかえて、朝起き抜けに出かけた。起き抜けといっても神社についたのは10
時頃。作戦はみごとにあたり参拝の行列は短い。せいぜい小一時間待ちというところか。
人間一度「楽」をするといけない。「冷えるね」「足も痛いし」の一言で今年も昇殿参拝を
することにした。受付に行っておどろいた。初穂料が高くなっている。神様も消費税増税に
負けたのか。それとも神様も便乗値上げかなと言いながら「楽」が勝って申し込んだ。
型どおり参拝がおわったがなんだか去年よりありがたみがうすい。自分だけの感じ方かと思
っていたらそばにいた年配の夫婦が「ありがたみがなくなった」と言っていたので神様は金
額内容ともに値上げをなされたようだ。
変わったのは実利のことばかりではない。昇殿参拝者がますます若返っている。年寄りから
みた若者ではなく10代後半から20代前半の実際の若者である。神様になりかわって社殿
から参拝者の行列を見ても若者が多い。境内に何カ所もあるお札売り場も若者でいっぱいで
ある。安からぬ初穂料を納めて昇殿参拝をするこの風景をどう受け取ったらいいのだろう。
世の中不確定のことばかり、といってどうしていいかわからないと「叶わぬときの神頼み」
というわけでもなさそうだ。ただのムードならいいのだが、心のよりどころを求めて彼らの
気持ちが神信心に自然にむかっているように感じる。きっと風俗文化の昔帰りがはじまって
いるのだ。この風景を安倍君が見たら「わが意をえたり」とほくそえむことだろうが、また
窮屈な時代がくるのかと思うとちょっと心配になった。