思いつくまま、気の向くまま 文と写真は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセー、子供の夏休み登校に自身の葛藤を感じたようです。
登校日
マンションのエレベータで小学生の女の子といっしょになった。
「夏休みの登校日ってあるの」
「ないです」
「いいね、全部休みか」
「いえ、部活のある日は行かなければならないの」
このマンションの一期生はどういうわけか美人がそろっている。
わかいお母さんたちと仲良くなることにいそしんだので、その子供たちも顔見知りで、や
たらに話しかける爺さんに警戒心がない。
小学校のとき、夏休みの全校登校日というものが二回あったと記憶している。
この登校日というものはおかしなもので、担任の教師が「○○元気か」「××宿題やって
るか」などと、たわいのないことを聞いて出席をとっただけだった。小学校には、戦災を
のがれたプールがあったのでプールの日には教師と顔をあわせる。わざわざ全校生徒を集
める理由があったのだろうか。もしかすると夏休みボケに気合をいれる目的だったのかも
しれない。それにこの登校日はその日、家にいない者は来なくてよかった。
当時田舎のある子は一月くらい田舎の祖父母のもとに帰っていた。親としては口減らしの
目的もあったのかもしれない。こういうときに親戚一同すべて都内にいて、どこにも行く
ところがないという東京もんは、うらやましさを背負ってとぼとぼと学校へいくほかはな
かった。泊りがけで遊びに行くなんてことはめったにない時代であった。
いまの学校はうまいことをやっている。部活ならばいやいや登校する子供もすくないだろ
う。それに生徒はなんらかの部活に参加しなければならないようなので全校生徒の把握も
できる。それが子供にとって、いいことかどうかはしらないが。
夏休みもそろそろ半ば。部活の日も近づいてきたので材料確保のために花火大会へ行って
きた。
ただきれいな花火だけを写してもつまらないので、木間越しに煙を生かしてねらってみた。
写真やというものは絵描きがうらやましい。絵ならイメージがわいたところで木の枝を書
き込めばいいのだが、写真となるとアングルをもとめて蚊にくわれたり、暗やみで蹴躓い
たりしなくてはならない。絵の才がないのが悔やまれる。
これで登校日ならぬ投稿日はぶじにすんだ。