思いつくまま、気の向くまま 文と写真は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセー、新年からなんだかだんなひきうけて、なんだ、ってことになったようです。
柄コンサート
柄にもないことをした今年の正月だがもうひとつ「柄」があった。
正月5日ライブハウスへ出かけた。例年の行動パターンでは考えられない珍事である。
昨年のクリスマスに、となりの大学で恒例のクリスマスコンサートがあった。
年に数回開催されるとなりの大学コンサートには時間があるかぎり出かけることにしてい
る。いつも玉石混合の出演者であるが、必ずこれはというバンドやボーカルが一組出るの
が楽しみだし、すっかり鈍ってしまったスナップの勘をこれ以上落さないために毎回写真
を撮ることにしているので一石二鳥だ。
いつも写しっぱなしではわるいので、なじみになった“われらがバンド”のマネージャー
に夏のコンサートの写真を渡したところ、「こういう写真は一枚もないんです。ありがと
うございます」と感謝されたまではよかったが、「お願いがあるんですが…」ときりださ
れた。
それは、ようやくライブハウスに出られることになった。ついてはチケットを買ってもら
えないか、あとでご案内します。ということであった。
クリスマスコンサートのため出演者も上手い人ばかりで気分が良い。それにアルコールも
だいぶ入っていたので、ここでひとつ旦那面をしてやろうと二枚求めた。
コンサートは満員で、最近売り出したシンガーソングライターのナントカちゃんとの抱き
合わせであった。そうだろう知名度の低いバンド一本でやるのは主催者としても冒険だ。
われらがバンドは、ナントカちゃんのバックをつとめたほかに数曲の演奏をした。
ところが晴れの舞台であがってしまったのかミスがおおい。あちこちの催事で場数をふん
でいるはずなのに、と思ったがむりもない。メンバーはいろいろでライブハウスでやった
ことがない人もいる。ナントカちゃん、との受けのちがいをみるとかわいそうであったけ
どしかたがない。贔屓の弾き倒しとチケット代とは別料金のドリンクの助けで無事終了。
いささかトホホの二時間であったが、半分はナントカちゃんだからと自分をなぐさめなが
ら耳直しにビートルズバーヘ。
使ったお金を考えると、柄にもない旦那面なんてやたらにするものではないと反省した。