2/27のねこさん 文は田島薫
チビクロまっくろ忘れる4
きのうの午後、近所のスーパーへビールを買いに行こうとしたら、また家のななめ前の坂
の途中にチビクロまっくろが座ってたんで、なるべく目を見ないようにそっぽ向いたまま
近づいて行ったら、何気なさそうに立ち上がって私のそばをすり抜けなにか言いながら、
坂を下って行った。で、立ち止らずふり返らずどんどん歩いて行って、ずっと向こうまで
行き、路地の入口でこっちをちょっと見てからそこを入って行ってそれっきりだった。
こ〜、この日なたぼっこにちょうどいい場所はぼか〜大好きなんだけど、たま〜にじゃま
もんがくっときがあっから、それだけがやなんだけど、つってると、そのじゃまもんが来
たよ〜、目合わせないよーにしとこ、って思ってると、あり?むこうも目合わせない気の
よーだね〜、こりゃよかったよかった、そのままぼくに気がつかない、ってことにして通
りすぎてくれると助かるんだけど、そんなわきゃないんだね、ほら、足だけこっちへ寄っ
て来たよ、だから、ぼくの方はだれかが近づいて来たことにも気がつかずに、用を思い出
した、ってことで、立ち上がり、忙しい忙しい、もー、後ろふりむくヒマもないんだよ〜、
ってことで、歩いて行っちゃうんだね〜。どんどん歩いていって、も〜あいつも帰ったろ
ーな〜、どれ、ちらっと見てみっか、ありゃ、こっちじっと見てるぞ、やばかったやばか
った、じゃ、ぼくはこれで、なんせあっちに用事があるもんだから。