3/7のねこさん 文は田島薫
ぽかぽかねこさん
晴れて少し暖かい土曜の昼過ぎ、自転車で食料の買い出しに出かける途中のねこよこちょう
入口角の家のテラスをのぞくと、そこにはねこさんいなかったんで、きょうはねこさん来な
いのかな、って思って少し自転車進めると、玄関や駐車スペースのある側のコンクリの上に
黄とらがいてこっちと目が合ったんだけど、や〜、ってあいさつして、ながめてたら、黄と
らの方もだんだんリラックスしてきて、少し段差の間の斜めになったとこに寝そべって、う
とうとしだした。しばらくまわりの植木の木立や空やなんかと一緒に彼をながめてから、そ
の場を離れた。
や〜、きょうは気持ちいい天気だね〜あったかいし、またテラス行くか、となりの木植わっ
た入れ物の上で土になるかだけど、土んなるのはけっこう疲れんだよな〜、なんだか、後で
身体のあちこちが痛くなっちゃったよ〜だし、きょうはここもあったかいからここでもい〜
んじゃね〜の〜。ここらだったら、奥さんが出てきて見つかる心配ないし、あれ、こないだ
ぼくが土んなってた時にぼくの方見てぼくが土になってるもんでぼくに気がつかなかった人
が見てるね〜。でもきょうはここだと、コンクリになってるふり、すっか、つってもそれは
ちょっと無理があんだろうな〜、ぼくにだってそれぐらいの常識はあるんだ。でも、見つか
らないように、ってのは、ここの奥さんに対してであって、部外者のこの人に見つかったか
らって、どうだってんだ、こんにゃろー、部外者はこっちの敷地入っちゃいけないんだかん
な、ばーろー、ま、ぼくも部外者かもしんないけど、それは、ま、ねこだし、ってことで、
しかし、ま、この人こっち見てるけど、特に悪だくみしてる風にも見えないまぬけずらだか
ら、だいじょうーぶ、ほっとこー。あ、この斜めんなったとこ、陽があたってあったかいね
〜、ここでい〜やきょうは、日なたぼっこ。