1/4のねこさん 文は田島薫
耳から波動砲
クリスマス前から茨城に来てて、家人がおふくろと近所の小さな「よろず洋品店」へ行っ
た時、墓地の石の上に一瞬くろねこさんを見た、ってのが見たねこさんのすべてなもんで、
今年も正月2日に一泊で来た妹のとこの飼いねこさんの話。
でぶねこサスケともういっぴきモンタのモンタの方。9年前ぐらいにのらねこの里親探し
サークルから受け入れて、その時、耳が黒かったんだけど、それがうんできて、かいいも
んで足でしょっちゅうけって、血のまじったうみをそこらじゅうに飛ばしてたんで、医者
に診せたところ、耳の奥に腫瘍があるんだけど良性だっていうんで、ま、いっか、ってそ
のままにしといて9年、だんだん外もはれたり、うみ飛ばしもエスカレートしてきたんで、
思いきって手術受けさせた、って。
ぼか〜、耳からビビビ、ってはどーほー、撃つのが得意技でさ、ぼくの耳が今が撃つ時だ、
つって教えてくれるんだよね。耳がなんだかむずむずかいくなる時がそうなんだけどさ、
もう、毎日、より遠くへいっぱい飛ばす練習をやって来たもんで、どんどん強力になって
来て、人間のおかあさんが、そのたんびに、わ!、とか、や!、とか大声出してほめてく
れるもんで、ますます技にみがきをかけようと思ってたやさき、どっか知らないおやじの
とこで何日か泊まらされて帰ってきたら、この技がちっとも使えなくなっちゃったんだ。
なんて、わるいおやじなんだ、きっとぼくのはどーほーの技がうらやましくて、ぼくから
それを盗んだんだぜ。ま、いっか、あの技もちょっと飽きがきてたとこだし、こんだは、
こーもんからはどーほー、って技をはじめっかな。