8/16のしゅちょう 文は田島薫
(ディズニーランドのマニュアルについて)
先日の大地震の時、ディズニーランドに大勢いた客たちは従業員の冷静な対処によっ
てパニックにならなかったばかりか、予想外の心遣いをされ感謝さえしたそうだ。
それは、キャストと呼ばれる各従業員がマニュアル教育を受けていたからだそうなん
だけど、そのマニュアルの基本は重要な順で「安全」「礼儀」「ショー」「効率」の
4つの項目からできていて、それを忘れなければ、臨機応変に従業員個人が独自の判
断で動いていいんだそうだ。
地震時、より安全とみられる従業員通路へ客を誘導するキャストや、足留めされ広場
にかたまってる大勢の寒さよけのために、ぬいぐるみを配ったり売り物のクッキーな
んかを無料で配ったキャスト、といった風に瞬時に対応することができたんだそうだ。
緊急時の他、通常の場合ももちろんマニュアルがあり、例えば園内掃除のキャストも
明るいコスチュームでショーのような動きを求められてるんだけど、それにも作業上
の無駄な動きを省き客の邪魔にならない配慮がされており、記念写真のシャッター係
りを買って出るような客の立場に立った積極的なコミュニケーションを奨励し、さら
にアドリブ的コミュニケーションもオーケーらしい。
それらは、ある程度細かい具体的マニュアルを教え込む際、前述の基本的な4つの目
的を理解させるため、キャスト各自がそれの応用であるアドリブも可能になり、その
意欲も増して活き活きとした仕事ぶりになるのだろう。
この話聞いて、ネットで調べてみたら、ここには書かないけど、そのキャストのアド
リブがエピソードを生んでいて、嘘のように感動的なのだ。
特別でもないごく普通の若者が、客の立場に立って対処する形が客の感動と感謝を生
むという構造を全身で理解したら彼らの善意の部分だけが引き出され、心優しいコミ
ュニケーションの連鎖が生まれるのだろう。
現実の世の中は、善意だけではなく悪意もあるだろうから、ディズニーランドという
ファンタジーの世界にだけ通用するルールと言ってしまうこともできるかもしれない
んだけど、現実世界でもわれわれがキャストに学べることはうんとありそうだ。
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