8/15のねこさん 文は田島薫
チビクロまっくろがかたまった
先週の朝、燃えるゴミを捨てに行こうと家の前の道路に出てとなりのバレエ教室の前に来
た時向かいの袋小路からチビクロがこっちへ曲って来た。チビクロと最初に会った時のこ
と私は忘れてて、そん時、まっくろ、って名付けてたのに、前回再会した時、チビクロ、
ってまた名付けちゃったから、ここで、「チビクロまっくろ」ってことに決めちゃおう。
チビクロまっくろ、道路わきのかきねの草のにおいに気をとられながら歩いて来たらしく、
私のすぐ足元まで来てからこっちに気づきびっくりしてかたまっている。
よ、って言って、しばらくながめてからちょっと手を出してひらひらさせてみたら、こっ
ちを見ながらよたよたよた、ってバレエ教室の前の車の下へ逃げた。
や〜、歩きまわってたらまたこのあたりに来たちゃったね〜、このあたり、草があちこち
あってけっこーいいとこなんだよな〜、この草のかおり、ぼか〜好きだね〜、くんくん、
くんくんくんのくん、あり?、なんだか暑苦しい別のにおいがすんね、こっちか?、おっ
と、と、と、こないだ、そばへ来い、ってしゃがんで呼んでた人の方が、いきなりぼくの
そばへ来ちゃってる、なんてこった、ど〜ゆ〜わけだ、って考えてる場合じゃない、やば
い、でも、下手に動くと、却ってあぶないかも、さいわい、今急になんだか身体が動かな
くなっちゃってるようだから、それを利用してこのまま少しじっとして死んだふりしてよ
〜、でもまてよ〜、立ったままの死んだふり、って〜と、ばれないかな? あり、またこ
の人の手が前へ出た、とっくにばれてるよ〜、やばいやばい、よたよたよた。