12/26のねこさん 文は田島薫
墓地のしろが来た
きのうの午後、茨城の家の部屋の座卓でノートパソコンやってると、廊下をへだてた寒い
外の小さな手作り池のコンクリ橋の上に、いつの間にか白ねこさんが来て寝そべっている。
ほ〜、って思ったんだけど、頼まれてた写真データを送る作業の方が大事なんでほってお
いて、ちょっとしてまた、そっちを見てみると、ちょうど、何かに気づいて立ち上がった
とこで、すぐにどっかへ逃げて行ってしまった。後で聞くと、となりの部屋でやっぱり気
づいた家人が立って行って手招きしたらおどろいたらしい。
ぼくは墓地のしろなんだけど、も〜、きょうの墓地はさみ〜、さみすぎるもんで思わず歩
きまわってたら、しらないうちにこっちの方まで来ちゃって、このでかい物置きみたいな
建物がある中が風よけになってそうなんで入って来たんだね。お、水があって、おっと凍
ってるね〜、この上のすこしふくらんだ台みたいなとこにちょっと陽が当たってて暖った
かいかもしんないね〜、おし、こ〜寝そべってみっか。ん〜ん、びみょ〜だね〜、暖った
かいってほどでもないけど墓石ほど冷たくないし、ま、ここならごちゃごちゃした建物や
木に囲まれてて風は来ないからよしとすっか。こ〜、ひとりでくつろいでるのがぼか〜、
好きなんだよね、…、って言いながらふと顔上げてみっと、だれかがいるね〜、な〜んだ、
ここも静かな場所じゃなかったか〜、やっぱ、墓地しかないか、静かなとこは。