10/17のねこさん 文は田島薫
ねこさんがうじゃうじゃ
ねこねた、前回はねこさんの方から突然来てくれる奇跡があったんで、今回の分もまた奇
跡を期待して待ってる、ってのも心細いもんで、先週の夕方、例の、ねこさんがうじゃう
じゃいるって家へ、今度はおふくろ直々に案内してもらった。
その家は、私が2度も来た同じ家で、道路側に廃屋が奥に新しく建てた家があり、こんも
りとした生け垣に囲まれていた。私が来た時は入り口から中をのぞいただけだったんだけ
ど、どの家とも知り合いのおふくろはどんどん中へ入って行く。と、すぐに、とらねこさ
んがわれわれの前を横切って行った。ほらいた、っておふくろ。あっちにも、って、見る
と、廃屋の軒下のへりに小さなくろねこがいて、不審そうにこっちをにらんでる。すぐに、
家のおやじが庭の影から出て来て笑った。前は、いっぱいねこさんいたんだけど、みんな
どっか行っちゃったりして今は2ひきぐらいになっちゃった、って。
ここは住み心地いいんだよな〜、仲間もいるし、でも、昔はもっとよかったね〜、うじゃ
うじゃ仲間もいてさ、走ったり、じゃれあったり、いたずらしたり、いっしょに昼寝やひ
なたぼっこして楽しかったな〜、みんなどこ行っちゃったんだろ〜な〜?ひとりでこー、
じっとしてるのも、さびしーね〜、秋だし。
あれ、とらじろがあわててあっち走ってったね、どーしたんだろ、あ、だれか怪しいのが
入って来たからか、でも、ぼかー、逃げないね、別に逃げなきゃいけないことしてないし、
ここのおじさんだって、ぼくにエサくれてるわけだし、ここはぼくんち、って言っても過
言はないわけで、なんで外から来た部外者に、追い立てられなきゃいけない、っつーんだ、
こんにゃろ、ふざんけんなよ、ここはぼくの場所なんだから、だれにもじゃまはさせない
んだ、ばきゃろ、でも、あんまりそば寄って来たら、逃げるけど。