5/3のねこさん 文は田島薫
梅ちゃんうとうとする
先週、ぽかぽか陽気の晴れた日、ビールを買いに行って戻り家の前の坂を下りて来ると、
左手のアパートの玄関前の駐車スペースのはじっこの縁石に梅ちゃんが寝そべってるの
が見えた。どうやら日なたぼっこのようなんだけど、梅ちゃん、こっちを薄目開けて見
てる。お、梅ちゃん、って言いながらそばまで行ってしゃがんでながめた。梅ちゃんは
眠そうにしながらも少しこっちを意識してる模様で、からだを少し伸ばしたり、ゆっく
り向きを代えたりしてる。いつもならあたまなでてやるとこなんだけど、きょうは両手
にビールと水持ってるもんで、手を出さずにしばらくながめてからその場を離れ、しば
らく行ってふり返ると、梅ちゃん薄目開けてまたこっち見てる。
や〜、気持ちいい日だね〜、ぽかぽかとあったかくて、こうやってぼー、っとしてると
どーしても眠っちゃうんだよな〜。でも、きれいなおねーさんなんかがそば通りながら、
あ、かあいーねこちゃん、なんて言うのを聞きながらうとうとしてるのもまたわるくな
いもんなんだ、お、うわさをすればだれかが来たぞ、なんだとなりのあの人か、ぼくが
求めてるのはちみじゃーないんだよ、つってもしょうがない、またぼくをなでんのかな、
少しがまんしてサービスしてやっか。お、来たね、今度は手がぼくの頭へ来るぞ来るぞ、
何気なく身体の向き代えて好きな時に、コレデオヒラキ、って避けられるよーにしとこ、
あれ、きょうは手が来ないね〜、手が来ないと安心してうとうとして来ちゃう感じ、お
っとあぶない、今、一瞬熟睡しちゃったぞ。まだ油断はできないからな〜。今に来るか、
あれ、立ち上がって行っちゃうぞ、どーしたんだろ、あの人、からだでも具合わるいの
かな?2分ぐらいは、なでるのゆるす、って言ってるのにな…うとうとむにゃむにゃ。