5/17のねこさん 文は田島薫
うまちゃんのしんぼう
先週末の朝、ごみを出しに出ようとした時、道路にうまちゃんがいて、で、こっちと目が
合ったら、少し早歩きで、じぶんちの前の車とフェンスの間へ入って行ってからこっち向
いたんで、ごみ袋持ったまましゃがんで、黙って顔をながめた。うまちゃんもこっちをし
ばらくながめてから、一段高くなったフェンスとじぶんちの外壁の狭いスペースに乗り、
またこっちを向いたんで見合ってると、すぐ何気なさそうにゆっくり後ろ向きになり、し
ばらく待っててもそのままじっとしてるもんで、私は立ってごみ出しに行った。
ごみ出しから帰って来てさっきの現場を見てみるとまだうまちゃん同じように後ろを向い
てて間もなくふり返った。こっちと目が合うと、ちょっとびっくりした様子なんだけど、
ちょっと横向いて壁をながめてからまた後ろ向きのもとの姿勢になったもんで、立って、
わが家の方へ向かいながら、うまちゃんの方を見ると今度は目でずっとこっちを追ってる。
や〜、朝の散歩、ってやってると、いつもあの人が出て来んね〜。めんどーだから、ゆっ
くり家の方へ逃げよう。おっと、思わず狭い方へ入っちゃったよ、いかんいかん、やっぱ
り追って来てんだろーね〜、あのしつこい人は、ほら、こっち見てる。なんですか?なに
かよーでっか?つってもただ見てるんだよね、もう、向こう向いちゃってあきらめて帰る
の待つことにしよう。ここずっと歩いて行ってもいいんだけど、気持ちよく散歩したいぼ
くとしてはあんまり狭くてうす暗いとこ歩きたくないし、やり過ごすまでのしんぼうで。
ま〜だかな、ま〜だまだだね。もうちょっとかね、ま〜だだね。よし、だいぶ待ったから
もうさすがのあの人も帰ってるはずだ、ってふり返る、ってーと、な、なんということだ、
まだいる。う〜んこっちのこんたんがばれちゃまずいから、うんちょっとこの壁を点検な
んかしちゃったりして、や〜、こ〜やって向こうのなんにもない空間を見ながら、こころ
を空っぽにするのがぼか〜好きなもんでして。つってごまかしてると、お、行った行った。
戻って来んじゃないだろうな〜、大丈夫だよね。最期のチェック、あっち前方、よしつ。