7/12のねこさん 文は田島薫
とらさんのだきょう
土曜の午後、自転車で図書館へ行った帰り、いつもなら、ねこよこちょうの入り口の路地
に入らないで、手前を左折して素通りしてしまうんだけど、ねこさんがいるかも、って、
ちょっと入ってみて角の庭のある家の庭を見たら、ねこさんが3人(?)いた。
どれも、東南に面した庭に向かって建物の方に身を寄せてて、一番手前には最初に庭をひ
とりじめしてたうすよごれたとらさんが建物の角に寄りかかり、2〜3メートル空けてき
れいなちゃとらが、更に2〜3メートル空けてこれまたきれいなきとらが、どれも、寝そ
べってうとうとしてる。
や〜、こないだは、人間も見てたし、ひとりになりたい、ってちょっと見栄はってこの庭
から出てったんだけど、どこも庭がせせこましくて、ここぐらいゆったり気持ちいい庭は
なかなかないし、おまけにあっち行けなんて追い出す失敬な人間なんかもいて、不愉快だ
ったんだよな〜、ねこが団体でいるような中にはいたくないんだけど、今の時間のこの、
ちょうど日陰で気持ちいい感じはここでしか味わえないわけだし、も〜、きょうはガマン
しちゃお〜、いちお〜、暑苦しいからそばから離れるようにみんなに言っといたし、目つ
ぶってれば、ひとりと同じ気分だし。あれ、またこないだの人が見てるぞ、きょうはかっ
くよくない、って見られちゃうんだろーな〜、ちょっと立ち上がって、今ひとりになろ〜
って思ってたとこなんだ、ってことにしよ〜かな〜、う〜ん、しかし、一度ねこがこ〜や
ってくつろいじゃうと最期、も〜、立ち上がるのは無理無理。や〜、ぼくもだらくしちゃ
ったもんだね〜、しかしこのだらくの快感ってもんも自由に味わっちゃうぼくもけっこー
かっくい〜かも、なんて、ことは、ないか、ま、いっか、… うとうと。