サニーイズム 文はさぬがゆたか
ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だより。
世界を見渡すアーチストサニーは共鳴する感性を英国の隅に見つけたようです。
Derek JARMAN’S GARDEN
梅雨のあい間にサンダル姿で庭先菜園の草を取ったり、まだ青生意気な
小粒なトマトを眺め八月を想う。
ム〜ンと熱気漂うパソコンの机に飽きるといつもの行動だ。
毎年なんだかんだと手入れをしてみても、どうにもそれほどカッコーが
つかない我が家の庭先は、あっちに鉄骨が転がりこっちにゃレンガの山
だし使うのかどうなのかの車のホイルも並ぶ。その合間にアジサイが咲
き芝生が伸びる。そこに削りかけのオブジェが寝転んでいる散漫さが
つまり日々の生きざまなんだろと思う。
それを肯定してもいいひとつの理由が、もうHIVで残念にも死んじゃったけど
英国の映画監督や舞台でも奇才を魅せてくれたDEREK JARMAN氏。
ROCKの世界でもザ・スミスやペット・ショップ・ボーイズの映像を
魅せてくれていた。その彼が晩年(と言っても50歳そこそこ)
死を覚悟していたろう時期に過ごすことになる場所がJARMAN’S
GARDEN。
一瞬枯れ果てたような石だらけの地に咲きほころぶ花や植物で、まるで
人生を 思わせるような錆び具合のオブジェが庭さきに転がる。
それがなんだか好きたまらんから、今夜もその地に行ってみた。
Londonから鉄道で東に一時間でFolkestone、そこから
Hythに向かい小さい蒸気機関車Romney&Dymchurch
Railwayに乗りDungenessに到着するんだとか。
地図をじ〜っと見たら、あの有名なドーバー海峡の町ドーバーを海岸
沿いに南下するとやがて出てくる砂浜と原子力発電所の集落、そこの
殺伐とした海岸の村ん中に、そのガーデンはちゃんとあった。
彼がまだ元気だったころに毎夜通ったろうパブ・パイロット・インも確
かに存在してる。
彼が亡くなってからもザ・スミスもペット・ショップ・ボーイズも聴け
るし、彼のガーデンもグーグルアースではっきりと見える 。
いろんな生き方があるんだろうけど、死期を悟ってもあえて原発近くの
朽ち果てたような漁師小屋でまだ表現を選ぶ気力がすごくて。
タイトルの本をあっちこっちと探してみたけどすでに日本語版の版元も
危ういらしく、冗談半分希望半分でいつもの図書館に頼んでみたら
たまげたことに探してくれた。
たった一冊の本のために、西那須から届いたとの電話をもらう。
栃木で6人目のジャーマン読者だそうだ。