1/25のねこさん 文は田島薫
梅ちゃんとうまちゃんのちがい
きのうの昼前、ブランチを済ませ歯をみがいてると、2階の居間にいた家人が呼ぶ
んで、なんだなんだ?つって行ってみると、梅ちゃんが歩いてる、って窓の方を指
指すんで、見てみると、家の前の道路をゆったり歩いて行くのが見える。すぐにも
のかげで見えなくなったんで、ベランダに移動して続きを見ようとしたら、ちょこ
っと左に向き変えた姿が見えて、すぐ前のアパートととなりの家の間を歩いて行く
のが一瞬わかっただけでもう見えなくなった。
梅ちゃんはいつもマイペースで、周囲の騒ぎになど動じる様子もなく行動に変化が
少ないもんで、遠くから見てると話にしにくい。それにくらべ、同じ家に飼われて
るうまちゃんの方は、すぐに気が動転するわ騒ぐわ走るわで、話にしやすい、って
ことで、先々週ぐらいのことなんだけど、夕暮れ時に外でねこさんの大声が聞こえ
るもんで、お、けんかだけんかだ、コラムのネタだ、って、外出てみると、となり
のバレエ教室へ上がる外階段の方から聞こえて来る。ちょっと近づいて見上げてる
とねこさんがひとり下りて来て途中からとなりのへいへジャンプし、身軽にそこの
庭に下りてからこっちを見てる。バレエ教室の階段の方からはまだねこさんの大声
が叫んでるんで探してみると、階段の裏側の鉄骨の上、ちょうど、階段上がりきっ
たステップの下にうまちゃんがいた。そうすると、庭の方にいる似たのはうまにち
ゃん、ってことになる。
も〜、いつもあったまきちゃうんだ、だって、ぼくにそっくりなあいつはず〜ず〜
しんだ、ぼくんちのおか〜さんがやってるバレエ教室の入口行っちゃ、ぼくになり
すまして生徒さんたちに、か〜い〜ね〜、なんて言われちゃってんだ。だから、ぼ
くは、そこはぼくの居場所だぞ、こらっ、って下から、ま、あいつからひっかかれ
ない場所を確保してから、どなってやってるんだ。こらー、ばっきゃろー。