2/15のねこさん 文は田島薫
梅ちゃんのおあいそ
先週のばかに暖かい日の朝、ゴミを捨てに出るととなりのバレエ教室の玄関前の道に
いる梅ちゃんと目が合った。お、梅ちゃん、って言いながら近づいて行くと、うまち
ゃんだったら何気なさそうにすぐその場から移動してしまうとこなのに、目を向けた
ままじっとして私のことを待っててくれる。すぐそばまで行きしゃがんで頭と顎をな
でてやりながら、玄関前でやっぱりしゃがんで植木鉢の手入れしてる奥さんに気づき、
ちょっと手を休めてると、梅ちゃん、ゆっくりと身を離して奥さんのいる方のわきの
植木の方へ移動して、何をするでもなくのんびりたたずんでいる。
梅ちゃんの気分がなんだか笑いを誘って、きょうは暖かいからね、って奥さんとふた
りで思わず同じことを言い。てれかくしのように私は、うまちゃんは?って聞くと、
奥さん、??、って顔をしている。あ、そっか、本名はにゃんだった。ってことで言
い直すと、あれは外ねこだから、って奥さん。どっか出かけちゃったらしい。
ぼくはあいつみたいにあっちこっち行って大騒ぎしたりするのは好きじゃないんだ。
こんな暖かい気持ちいい日は、おかーさんが見えるうちのそばで日なたぼっこすんの
が最高なんだ。
あれ、あっちからとなりの人が出て来たぞ、またぼくの頭をなでるんだろーなー、あ
んまり他人から頭なんかなでられんの好きじゃないんだけど、近所の人ともなかよく
しといた方がおかーさんも助かるだろうし、あいつみたいにぶあいそじゃない、って
ぼくの評判が上がるのもわるくないから、ちょっとがまんしてつきあってやっか。
どうだい、ぼくの毛はやわらかくてなでる手が気持ちいいでしょ。ゆっくりねこ毛の
感触を楽しむといいよ、2分間ぐらいはね。はい、そろそろいいかな。