9/7のねこさん 文は田島薫
つーとんずらねこさん
毎週ねこねたで苦労する茨城にいて、おいおい、全然ねこさん見ないで一週間終わっちゃ
うぞー、どーするんだ、って、どんずまりのきのうの夕暮れ、網戸越しにの廊下の外の庭
見たら、ひょうたん池のセメント橋の上に、2年ばかり前までいた都内の事務所によく遊
びに来てた(白とグレーのツートンカラーの)つーとんが立っていた。
お、私の苦境を察したつーとんが世話になったお礼に瞬間移動で来てくれたのか?それと
も夏の残りの怪談で、シャレのお化けで来てくれたのかな?それとも、ねこさん見たい、
私のこころが作ったマボロシなのか?って、不可解に思いながらよく見ると、つーとんよ
り大分小柄だし、こっちふり向いたそのたれ目は別人(ひとじゃないっ)のものだった。
ちょっちょっ、って舌で親愛のあいさつをしたら、ゆっくり寝転んで、くつろぐまねして
見せたくろねたねこさんと違って、彼はそれを合図に大急ぎで逃げて行った。で、きょう
から君の名前はつーとんずら。
あんなにすぐ逃げちゃうとこみると、このあたりじゃ珍しい本物ののらで、きちんと、池
の金魚をねらってたのかも知れない。
や〜、夕方は目のわるいいじわるじいさん気がつかないはずなのに、きょうはなんだかち
がう人がこっち見てたな〜、いつか金魚つかまえようと思ってるんだけど、じいさん、い
つあるかわからない大雨に警戒して池の水うんと下げてるもんで小柄のぼくはいつも手届
かなくて落っこちそうになるもんで、きょうもだめかもって思ったんだけど、チャレンジ
する前に逃げなくちゃならないなんて、世の中きびしーね〜。
ひょっとすると、おやじも、つーとんずらが池に身を乗り出したり片手水につっこんでる
のを見たことがあったりして、目のわるいおやじには、散歩するくろねたねこも、つーと
んずらも、区別がつかないだろうから、くろねたねこさんが、いくら、ね? ね?、って
わかってもらおうとしても、限り無く難しいことのようだ。