6/8のねこさん 文は田島薫
うっしー、となりでくつろぐ
カー、っと真夏のように晴れた昨日の日曜の午後、大量のビールと水を調達した近所のス
ーパーから戻り、わが家の手前のアパートの前まで来ると、道路から垂直に奥へ伸びる建
物と通路の一番手前の部屋のドアの前にうっしーが寝ころんでいた。
うっしーは、白黒のホルスタイン柄のねこさんで、最初に会ったのはもう何年か前の、3
ブロックも離れた場所だったのが、最近わが家の方にも遊びに来るらしく、たまに姿を現
すようになったんだけど、たいていはなんかの用事を済ませてさて帰ろう、って感じであ
まり落ち着きはないように見えたのに、きょうのうっしーは、みょうにくつろいでて、こ
っちに気がつくと、こっち見て、なんだい?、って、もーずーっと前からそこに住んでる
ような落ち着きぶりで、片手に葉巻き持ってても違和感ない感じ。
多分ドアの中の住人が時々エサをくれるもんで、そこのドア前の通路を自分ちにしちゃお
うか、って思い始めてる時だったのかもしれない。
おー、うっしー、って声かけてみると、う〜ん、どーしようかな、となりに住んでる人だ
し、ぼくがここに住んでるってことになるとご近所さん同士ってことになり、親し気にあ
いさつのひとつもしなけりゃならないとこなんだけど、じゃ、一応、にゃ〜。
お、あいさつしてくれたな、って思って、じゃっ、こっちももっと親しくしてやろうか、
って少し近づくふりをしたら、うっしー慌てて立ち上がって、ととととと、と通路の一番
奥へ走って行ってからふり返って、じっとこっちを見てる。
や〜、親しくしてみようかとも思ったんだけど、やっぱりのらのクセで逃げてしまったぼ
くのばかばか、やっぱり、かたぎの生活は今のところ難しいね〜、じゃ、だんだんにだま
しだまし行くとすっか、ねこだまし、って顔がしきりに思いめぐらしてる。