10/15ののらねこ 文は田島薫
あそんでくれない
朝1件立ち寄りしてから遅く出勤すると、シャンさんが皿にエサを出してくれてた
んだけど、シャンさんも外出しててねこさんも来た形跡はない。
数百も来る迷惑メールなどを削除したり、宅配などを頼みに行ってから、ちょっと
ねこ取材に出かけるか、って階段下りて行くとちょうど2階の踊り場からバットマ
ンがねこけもの道の方へ歩いて行きかかってるんで、ちょちょ、って合図したら、
ちょっと振り返っただけで、愛想なしにそのまま向こうへ歩いて行って、ねこけも
の道から向こう隣のベランダに飛び上がって向こう向いたまま座り込んで、何か考
えている様子。
となりのベランダ見るといつ来たのかブラッキーが寝てて、ちょっと声かけても目
が覚めないか、相手にしてくれない感じ。
やっぱり、あと2週間ちょっとで私の事務所が引っ越ししちゃうから、それを見越
して、もうあまり仲良くしちゃいけないんだ、って冷たくなっちゃってるのかもな、
って勝手に想像して少し寂しい気持で露地の見回りに行った。
と、やっぱり北側にも南側にもねこさんいなくて、あの人来ても、もうここから去
っちゃう人だから相手にしないように、ってオフレが回ってるんじゃないか、って
勝手に想像してますます寂しい気分で帰ろうとすると、にゃ〜にゃ〜、って甘えた
声がするので、振り返ると、どっかの会社の玄関のわきから首輪をつけた三毛が出
てきて、今帰って来たそこの社員らしい作業着を着た男に抱き上げられるところだ
った、抱き上げられたまままたにゃ〜、って甘えて、いっしょにドアの中へ消えて
行った。
何だかますます寂しい気持になりながら、角のやおやでキャベツを買って帰った。