11/12のねこさん 文は田島薫
みんなどーしてるかな〜
さあ、さいたま市のねこ日記シリーズ、第2回めだ、って、意気込んで、朝、
自宅の周囲を見回してみたけど、前の道路の向こう側のアパート前の自転車置
き場のすみっこをとなりのバレエ教室の無愛想くろとららしいのが、のそりと
歩いて行くのが見えただけだったんで、これじゃいかん、なんにもねこさん日
記書けない、って思い、午後、事務所から近所の露地探索に出たんだけどけっ
きょくねこさんにはだれにも会えなかった。
有楽町線江戸川橋にあった事務所では、けっこうねこさんいつもいたな〜、っ
て、先々週ばたばたと事務所をさいたま市に引越したもんで、あんまり気持の
余裕がなかったんだけど、片付けもまあついて落ちついた今思えば、別れて来
たねこさんたちのこともちょっと思い出して来る。
しかし、そこに27年もいたわけだから、ずっと同じねこさんたちとつきあって
たわけではなくて、ねこさんたち数年から10年もするといつのまにか姿を消し
たり、新人が現れたりして入れ代わって来た。
のらねこさんたちは厳しい環境で生活してるもんだから自由と引き換えに寿命
も短く、ど〜してるかな〜、って言っても天国に行ってる方も多いはずだ。
それでも、引越し直前までつきあってくれたねこさんたちは現役で生きてるわ
けで、ブラッキーやらバットマンやらのことはちょっと気にかかる。
それに、引越し直前になってなかよくなったねこさんもいた。
事務所までの露地の途中にいたくどい色の三毛で、ずっと無愛想だったのが、
会うたびに声かけてたら、とうとう、にゃ〜、って挨拶を返すようになったの
だ、引越す4週間前ぐらいに。
今ごろ、あの人きょうは通んないのかな〜、って待ってるかもな〜。