6/11ののらねこ 文は田島薫
見間違いストーカー
先週先々週と引き続きねこさんをめっきり見かけなくなった。
となりのベランダ下物置きの錆びたトタン屋根の上にバットマンが寝そべってるのが、
見えるだけだ。
バットマンうつ伏せると鼻先以外が全部真っ黒になってるから、ちょっと目に全身が
くろねこに見えるもんで、以前、クボセンセ−、くろがいるくろがいる、って騒いだ
ことがあって、あれはお馴染みのバットマンだぞ、って指摘してやったら、やっと気
づいて、ばつのわるそ〜な顔してたことがあった。
午後、酒屋に発泡酒を買いに行くついでに、路地の見回りしたんだけど、だれもねこ
さんいなかったんで、発泡酒冷蔵庫にしまってから、商店街の方へ行こうとしたら、
靴屋の前にいつもいるスリムなくろとらが道を横切って歩いて行くところと目が合っ
て、なんだかこっちの顔をまじまじとのぞき込んでから、そばの段ボール収納ラック
の下へ隠れてから、商店街の入口に立ってる女性がももちゃん、って呼んだのに反応
して出て来たんだけど、そっちへは行かず、私の方をじっと見つめ続けていた。
私もぼーっとねこさん拝見してるもんで、このあたり同じ柄のねこさん多いこともあ
り、同じねこを別人(?)と勘違いしたりもしてるようで、どうも先日ビデオで撮ら
れてたのも、タイヤでつめ研いでたのも、このももちゃんで、そういやー、先週末も
出勤途中に、道の端に座ってる彼に会ったりしてたから、あ、こいつだ、あやしーや
つは、ボクのこといつもじっとストーカーしてるのは、って思ったのかも。
これだから私はクボセンセーのこと笑えないのだった。