4/9ののらねこ 文は田島薫
ねこ出入りの季節
今朝、さいたま市の自宅を出ようとしてたら、道路の方でねこのけんかの声が響
いたんで、ありゃ、どこかな?ってあたりを見回してみると、となりのバレエ教
室の先生でもある奥さんがしゃがんで、飼い猫の名を呼んでいるのと顔が合った
んで、あいさつしてから、一緒に反対となりの駐車スペースの車の下をのぞき込
んでみたけど、もう当人たちの姿はなかった。
うちの子がよそのねこいじめてんの、って奥さん言ってるんだけど、確か以前見
た時に、追い詰められて逃げてたのは奥さんとこのねこの方だったから、ちょっ
と自分んちのねこにオヤバカ、のようだ。
で、駅の方へ歩いて行くと、途中のでかいマンションの駐車スペースの道路ぎわ
に白ねこが座っているのと目が合ったんだけど、彼の目のふちはうっすら赤く怪
我の跡が残っていて、なんか文句あんのか、って目が言ってるんで、ありません
よー、って目で言ってからその場を離れて振り返ると、彼はゆっくりと道路を横
断して行くところが見えた。
事務所に着いてから、しばらくしてドアの外出ると、肥満の白が逃げて行こうと
していたんで呼び止めたら、階段の途中で立ち止まって、こっちを振り返って、
ちょっと考え事してから、やっぱり帰って行った。
路地の見回りへ行くと、小さな庭の家の庭の段ボール箱の上でくろとらが気持よ
さそうに寝てるのが、見たねこのすべてだったから、今の時期のねこさんたちは
ガールハントや決闘や行楽など、バラエティに富んだ生活をしてるのだ多分。