10/12ののらねこ 文は田島薫
新人の訪問先週の後半ぐらいから、わりあい新人の若いベージュや、若とら(2代目)が
おどおど、とやって来て、こっちの顔見ると逃げるんだけど、いつも声かけて
たもんで、逃げるのも本気ではなく、呼ぶとすぐ立ち止まり、こっちを見る。
皿にエサ入れてやって、階段の途中にじっとしてる彼らにそう伝えてひっこむ
と、間もなく上がって来る。
何で急に彼らが来る頻度がふえたのかな、って思ってたら、どうも、うちの
事務所のビルと地蔵通り商店街にはさまれた古い建物の中で改装工事が始まり、
そこにいた住民からの世話が滞ったせいだろう、ってシャンさんの説だ。
きょうも昼に事務所であったかおつゆそばをシャンさんと食べていると、(そんなこたー、どーでもいいっ)お、ねこだ、って簡潔な表現でシャンさんが
情報を伝えるので、振り向いてみると、ベランダのガラス戸の少し開いていた
向こうに、ほぼ新人の若とら2代目がいて、こっちを緊張気味の丸いひとみで
見ている。
以前来ていた若とらと、この前までしばらく見間違えていたんだけど、よく見ると、
顔が全然違ってて、頭も小さく、手足が長くてしっかりしたモデル体型のようなん
だけど、顔はびっくりしたキューピーちゃん、って感じだ。
おお、来たか、って言って出て行こうとしたら、ゆっくり逃げて行った。もうエサ食べた後だったから、呼んでも立ち止まる必要は感じなかったようだ。