11/1ののらねこ 文は田島薫
バットマン避難する雨上がりの今朝は水はけの今一つ悪いベランダの広い方はちょっとプール状、
お客さんの出足も悪そうだ。
先週末、昼前に開店したばかりの99円ショップで半切りキャベツ(お昼のあったかそばに入れるのだ。…そんなこたーどーでもいい)を2つ買おうと思ったら、
レジの前が長蛇の列だったのでやめて、帰って来ると、階段の上の方が騒がしい、
なんか動物の叫び声と人間の声も混ざる。
見上げると、シャンさんもクボセンセーも出ていて、ほらバットマンが大変だ、
って言ってる。
指差しの方を見ると、前にも同じようなことがあったけど、広い方のベランダの
フェンスの外側の幅10センチほどの棚状のへりに新人若とらがいてその一番向
こう角、絶壁の縁にバットマンが追い詰められていた。
ベランダのバットマンに近い方へ行ってから、若とらの方を向いて出て行きなさい
って手で合図したらその通りに従ったが不服そうに見上げた若とらはいつまで
たっても小柄なバットマンにくらべ何だか知らぬ間にずいぶんでっかくなっていた。
騒動がおさまって、いつの間にかバットマンの姿も消えていた。そうとう怖かったんだね、んこしちゃったよ、ってシャンさんが言う方を見ると、
彼がいた絶壁の縁に、しっかりした形の2本が置き去りにされていた。
バットマンはかなりふてぶてしいな、って思ってたんだけど、やはり、腕力の実力
社会では強敵も多いんだろう。
で、そのことは忘れてシャンさんたちとあったかそばのお昼を食べようとしていると、あ、ねこがいる、ってふとん収納の上の棚のねこはがき段ボール箱の奥の方を
指さして、シャンさんが驚きの声を上げた。
そりゃ、バットマンだ、って思って、そう言った。
そうか、怖かったから隠れたんだな、ってみんな納得して何事もなかったように
お昼を食べた。
夕方になって、バットマンのことを思い出し、台に乗って段ボール箱の上を見回してみてもいないし、バットマンって言っても、もの音もしないので、いつの間にか帰っ
たんだろう、って思っていた。
また一時間ぐらいして、何だか一番上の段ボール箱のふたが動いた気がしたので、手を入れてみたらバットマンがいた。
持ち上げて、ドアまでご案内し、帰りなさい、って行ったら、まわりを見回してから
階段を下りて行って、ねこけもの道をあたりを警戒するように振り返り振り返り、
歩いて行って、向こうの角を曲がって消えた。