連載●文はクボユーシロー
ユーシロさんのちょっと知人の話 (追加)
(片岡氏)
前回までのテーマで一人忘れていた人がいたので追加する。片岡氏である。片岡氏は革命家なのである。1970年私が22の時、常磐線
の北小金(松戸市)の本土寺(アジサイ寺で有名)側に住んでいた。
片岡氏は反対側の旧水戸街道沿いにある小さな食品スーパーのオヤジ
であった。
その頃彼は40代前半だったろうか。なんだったか忘れたが彼が
呼びかけた集会のようなものに参加したのが出会いである。
彼は日共から分裂した小さな党派のこの地区の責任者(と言っても他に活動家は見なかった)のようであった。当時、松戸地域の住民運動、
反戦運動、人権活動などのいわゆる左翼的の活動には大別すると
日共系と日共大嫌い系があった。
代々続く土地っ子で学生時代(早大)から左翼の片岡氏は後者のまとめ役
のような存在であった。
この地域の活動でどのセクトや団体が主催してもどこかで見たような人々が集まって来る。つまり、日共大嫌い系の活動家自体の絶対数が
少ないのでお互い助け合って(これが本当の全共闘なんちって)いるので
ある。温厚な片岡氏の周辺には右は旧社会党江田派系から左は公安と
鬼ごっこしてるようなのまでいろいろ集まって仲良くやっていた。
私はノンセクトだったが日中友好協会だったので「毛派」などと後ろ指を
差されていた。
出会ってから30数年、その間私は転々としたが年に2,3回は会うという付き合いが続いている。中国人留学生との交流会にも何度か
来てもらった。齢70を過ぎた彼はいろいろとガタが来ているらしいが
その志は今なお熱く燃えている。毎月送られてくる「たんぽぽ」と言う
松戸地域の住民運動誌は左翼に限らずいろいろなサークルやグループが
集って作っている出版物である。公害問題、老人問題、福祉問題、
市役所内不正の追及など市民の側に立ったきちんとした論陣が張られて
いる。この「たんぽぽ」の発行人は現在、片岡氏である。
土着の革命家片岡氏は地域の次世代へ戦いの種をちゃんとまいた。
(この連載本当に終わり、次回新連載をご期待)