連載●文はクボユーシロー
ユーシロさんのちょっと知人の話 5
(権さん)
権さんは朝鮮族系中国人らしい。権在永、中国の読み方は知らないが我々はケンザイエイと呼んでいた。
20年ぐらい前中国の文革が終わって2,3年たった頃彼は松戸に来た。
千葉県松戸市に千葉大学園芸学部があり、彼はそこに戦後最初の
学部留学生としてきた。
日中友好協会の千葉県松戸地区のメンバー(今も)だった私が付合った
最初の留学生でもある。その後今日まで数百名の留学生と交流する
ことになる。
大学からの要請で彼の下宿探しを手伝ったが、彼は我々が苦労して探したアパートを2ヶ月ぐらいで出た。我々に何の相談も連絡も無く
唐突に。それは中国人と日本人の考え方、習慣、行動などのギャップを
知っていく第一歩でもあった。
始め彼にあって驚いたのは日本語の発音がナチュラルな事だった。生まれはモンゴルの近くで大学はハルピンにある東北農学院、日本語は
日本からのラジオ放送を「よーく。」聴いて覚えたらしい。子供の頃
両親は亡くなり、兄と二人で苦労したと言っていた。
彼はすごく優秀な学生である。千葉大の教授とオランダで行われた学会に行き英語で論文発表したらしい。その後彼は東大の博士課程を卒業、
そこから奥さんと子供を連れアメリカの研究所に渡った。それからの
詳しい事は知らないが噂によると韓国系米国人の実業家から大金を
渡され「中国で何かビジネスを立ち上げろ」と言われ、ハルピンに事務所
を構えたらしい。
彼とは花見をしたり旅行に行ったり、我々主催の中国語教室講師や通訳をやってもらったりとたくさんの思い出がある。漢族の留学生は
「権在永」という名は朝鮮族の名前だと言うが、10年くらい
付き合っていて彼自身から聞いたことは無かった。
何族でもかまない、もう一度松戸の庄屋で鳥のから揚げ食いながら一杯やりたいよ権さん。
(この連載はひとまず終わり、次回から新連載)
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