新連載●文はクボユーシロー
ユーシロさんの 食い物話
(大糸線沿線の蕎麦)
今まで長野県の大糸線沿線でそばを食ってまずかった事がない。まずは
松本駅構内の立ち食いそば。スキーの帰り、その時は狐にワカメを入れ
た温かいのを食ったのだが、本当に旨かった。うそだと思うなら新宿か
ら急行ですぐだから行ってみなはれ、できれば冬だな。
次は大糸線白馬駅前ロータリーの左側にあった焼肉屋。店はビニールで覆われた外階段を2階に上がっていく造りのせこい店。店内の隅っこに
『ざるそば』と張り紙があった。焼肉の後でそばもいいけど焼肉屋だか
んなー。と文句を言いつつもみんなそばを注文した。それが旨かったの
なんの、特に名は伏せるが、驚きのあまり思わずつゆをひっくり返す者
まで出る始末。
次は池田町の蕎麦屋。この町がどこにあるか知らない人は廊下で立ってなさい。糸魚川から松本まで続く旧街道、別名・塩の道といわれた旧道
沿いに在る老人と猫しかいない寂れた町。
鉄道も通っていないこの町にどういうわけで行ったのか知りたいか?今回はそばの話だから説明しない。旧道から少し奥まったところにあるこ
の蕎麦屋。周りはどういう訳か人家が密集していて、細い道がマスクメ
ロンの模様のように入り組んでいる。まったく地元の人だけを頼りに存
在している店である。ブリキの波板で最近改築したような安普請、平屋
で小さななんの特徴もない蕎麦屋。そこの天ざるが旨かったのには参っ
た。どういう風に旨かったかは次号に続く。