7/19のねこさん 文は田島薫
カオベッド
猛暑なもんで、見たねこさんはねこよこちょう入口角の家の縁台の下で相変わらず、ひと
夏待機しそうな黄とらだけなもんで、私が10代だった大昔の頃の話を(オイオイ)。
子供のころから何度か犬は飼ってたんだけど、ねこはどういうわけか飼わず、たった1度
だけ下半身をマヒさせた子ねこを拾って飼ったことがあった。
淋しそうな目をしたそのねこは外へ行かず、いつも家にいて、私の家族と私になついてて、
私の姿を見つけると遠くから前足だけで走ってきて身体によじ登った。
夜もたいてい私の寝床のそばへ来てくっついて寝たんだけど、ある時、仰向けに寝てる私
の顔の上によじ登ってそこで寝心地のいい体勢づくりを始めた。オイオイ、って思いなが
らも、少しがまんしてたんだけど、さすがに息苦しいもんで、かんべんね、って顔の横へ
下ろしたら、納得してないねこさんまた登ってくる。で、また下ろしたり。
ぼくはこの人好きなんだね〜、眠たい時はいつでもこの人の上乗って寝るんだ、この人は
ぼくのベッドなんだね〜。ちょうどいいなまぬるいあったかさや、汗くさいよーなとこに
くっついてるととっても安心なんだね〜、あれ?きょうは、首から下になんだかいつもよ
り厚ぼったいものがかかっちゃってるね〜、これじゃだめなんだよ〜、ジカな感じがしな
いと、困ったな〜、じゃ、しょーがない、この顔の上にすっか、しかし、ここだとジカす
ぎて、ちょっと寝心地に問題あんだけどな〜、おいしょ、っとちょっとすべりやすいから
ちょっとツメを立ててと、どっこいしょ、うん、ちょっとかたいのが難だけど、ま、よし
としておこうか、ん、あれ、下ろされちゃったね〜、なんで?いいんだよ、ここで、大丈
夫だって、がまんすっからさ、じゃ、もー一度ツメ立てて、おいしょ、っと。