11/7のねこさん 文は田島薫
チビクロまっくろ人気者
先週末の朝、いつもより少し遅めに燃えるゴミ持って家出たら、となりのバレエ教室の前
でそこの先生でもある奥さんらしい後ろ姿が掃き掃除してて、そばにチビクロまっくろが
座ってた。ちょっと先の家の前ではそこの婚期を逃した娘がしゃがんでたばこ吸ってるの
がこっち見て笑ってるのとあいさつ交わし、ふりむいた奥さん(いつもより顔が若い気が
した?)ともあいさつを交わし、しゃがんでちょっとチビクロまっくろの頭なでてからゴ
ミ置き戻って来たら、さっきの人々もチビクロまっくろも同じとこにいて、私もまたちょ
っと頭なでたりしてると、坂の上から耳が遠くて声のでかい近所のおやじさんが下りて来
て、チビクロまっくろみんなに囲まれ人気者。おやじさん、私に、くろ飼ってやれよ、っ
ててまねまじえて大声で勧める。私の方は、もぐもぐとできそうもない理由などを言って
ると、チビクロまっくろ、ゆっくりと歩いて行き、たばこ吸ってる娘のそば行って、頭な
でられてる。
このあたりの人はみんなぼくのこと好きなようなんだね〜、たいていそば行くと頭なでて
くれるし、ぼくは女の人に頭なでられるのは、いやじゃないんだよな、や〜、くつろぐね
〜、つってると、あれ、ゆいつ、頭なでられるのを遠慮したい人が来たね〜。ま、しょー
がない、ほら、ちょっとだけならゆるす。あ〜、よかった行った行った、つってると、あ
り?また戻って来ちゃったね〜、またなでるんかいっ、え?ぼくをこの人んちに、って言
ってるおっさんがいるね〜、おいおい、ぼくが一緒にいたいのはこの人じゃないんだって
ば、まいったね〜、ここにぼやぼやしてるとやばいっ、こ〜、なにげなく、ゆっくりと、
あっちへ歩いて行っちゃおー、よし、ここまで来れば安心。いっぱいなでてよね。